ライブドアLF問題と球界参入(2005/02/28)
『ライブドア事件』以前の話(2006/01/19)
楽天当選・ライブドア落選の結果に終わったプロ野球の新規球団参入審査。楽天による『ライブドア潰し』でライブドアに対する同情的な世評もあるが、ライブドアの新規参入はその企業体質から時期尚早だ。
【PART1 ライブドアの企業体質】
・新規参入審査にも問題があるが…
・ライブドアに横行する『欠陥工事』
・慢性的な人材不足
【PART2 ライブドアのハッタリ】
・『時価総額』のトリック
・『現金500億』のカラクリ
・実のないポータルサイト
【PART3 ライブドアの功罪】
・ライブドアの功罪
・これ以上の混乱を招かないために
新規参入審査にも問題があるが…
プロ野球の新規参入審査に関しては問題が多い。ライブドア堀江社長も主張するように、サッカーJリーグのような明確な参入基準があるわけでもなく、ただ急拵えの『審査小委員会』によってヒアリングが行われたに過ぎない。そして最終的な参入決議は、相も変わらず既存球団オーナー連の『オーナー会議』による談合であり、これまでの球界の不透明性をまるで払拭できていないのは明らかだからだ。しかし、新球団とその存続を前提とした、楽天とライブドアの二者択一という意味では、この新規参入審査はおおむね正しい判断を下したと言えよう。楽天の『ライブドア潰し』ともとられる後出しの新規参入表明、後乗りの仙台本拠構想、また財界の『応援団』をバックにした守旧的な体制などに対する批判は多いが、それでも両社をはかりにかけ、少なくとも数年の球団存続ということを考えれば、まだ楽天の方がマシだと言うことができる。
ライブドアに横行する『欠陥工事』
総合IT企業として技術力を売りにしているライブドアだが、IT関係者やユーザーによるその技術評価は決して高くない。最近の事例では、自前のシステムに切り替えた『ライブドア証券』で大規模なトラブルを発生させている。ライブドア証券はもともと、M&Aで買収した日本グローバル証券だったのだが、ネットトレードサービスを開設することによってオンライン証券システムに参画した。ライブドア証券は、以前は外注製のシステムであったが、それを自社製に切り替えたところ、「ログインできない」「入出金できない」などのトラブルが長期間継続した。金融取引という金銭を取り扱うシビアなシステムの中で、安易にシステムを製作し運用する姿勢は命取りである。
このようなライブドアによるシステムトラブルは、何もライブドア証券に限ったことではなく、「したらばBBS」などのインターネット掲示板や、ライブドアの中でトラフィックの半分近くを占めるブログシステムでも多発している。建設業界で言えば、手抜き工事・欠陥工事のオンパレードであり、とてもユーザーに顔が向いているとは思えない作りなのだ。
また、インターネットシステムのみならず、パッケージソフトにおいてもライブドアの評判は芳しくない。内外ソフトウェアの権利を買収するものの、ソフトの改悪を施し、使い勝手のよくないものにしてしまうことが定番といわれ、またユーザーサポートの評判も悪いようだ。
慢性的な人材不足
このようなライブドアの体質は、その慢性的な人材不足にある。堀江社長を除いて会社創業時から残っている役員はおらず、現役員は堀江氏のイエスマンばかりと言われている。株主構成を見ても堀江社長一人が大株主として突出しており、典型的なワンマン企業ということができる。若さを売りにしている感のあるライブドアだが、技術的にはある程度の経験と蓄積が必要だ。スピードはあるものの、人材流動が激しく、また若手を重んじすぎる点はライブドアの大きな欠陥である。
また、球団経営にも同様なことが言えるだろう。歴史のあるプロ野球界に対して、スポーツビジネスの実績のない会社には荷が重い。また、ノウハウのある人材を雇い入れるにしても、今の体制では全くおぼつかないところがあるのだ。それは、ライブドア・ベースボール社の「いかにも若造然とした」社長らの姿や、発表したスタッフのラインナップを見れば容易にわかるだろう。
【PART2 ライブドアのハッタリ】→