明日、31日（日）に開幕する東アジア選手権。初戦の北朝鮮戦に向けて前日練習後のジーコ監督・選手コメントを、現地から元川悦子さんのレポートでどうぞ。（写真は第1戦が行われる大田ワールドカップスタジアム）＜東アジアサッカー選手権大会関連記事＞
●7月29日 日本代表、初練習の模様
●開催都市スタジアムガイド
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3度目の正直で完勝したい北朝鮮戦
勝利のポイントは早い時間帯の先制点
「前回大会では総得点１の差で準優勝に甘んじている。その悔しさがあるから今回は絶対に優勝したい」とキャプテン・宮本恒靖（Ｇ大阪）は力を込めた。２年前の東アジア選手権の悔しさを晴らすためにも、今大会は内容と結果の両方が求められる。まずは31日の北朝鮮戦（大田、19時キックオフ）で完勝し、幸先のいいスタートを切りたいところだ。今日はできる限り早い時間帯の先制点でリベンジに燃える北朝鮮を突き放したい。東アジア選手権（韓国）がいよいよ開幕する。初戦を控えた日本代表は30日、17時から大田ワールドカップ競技場のサブグランドで１時間あまりの最終調整を行った。
韓国入りした前日練習を欠席した小笠原満男と本山雅志（ともに鹿島）も姿を見せ、ようやく23人全員が揃ったジーコジャパン。日本以上の蒸し暑さの中、指揮官はトレーニングを始めるにあたり、「2003年の前回大会ではゴール１つの差で勝てなかった。その苦い思い出を忘れてはいけない。今回は必ず優勝しよう」と全員に檄を飛ばした。これで選手たちも気持ちを引き締めた。
練習メニューはストレッチ、６対２のボール回し、短い距離のダッシュ、セットプレーの攻撃とカウンター対策、ミニゲームといった流れだった。セットプレーはこれまでのように単にゴールを決めたら終わりということではなく、クリアした相手が攻めに出てゴールまで持っていくという連続性のある練習が取り入れられた。北朝鮮が時おり見せる鋭いカウンターを封じるための対策だったようだ。今回の北朝鮮は今年２月と６月に最終予選で戦った時よりメンバーを落としてくるといわれる。Ｊリーグでプレーする安英学（名古屋）も不在だ。とはいえ、逆にフレッシュな選手たちが体を張って日本に向かってくることも考えられる。そういう意味でもきっちりカウンターを封じることは、日本にとって重要なポイントになるだろう。
ビブス組に入ったのはＧＫ川口能活（磐田）、ＤＦ田中誠（磐田）、宮本、中澤佑二（横浜）、右サイド・加地亮（ＦＣ東京）、左サイド・三都主アレサンドロ（浦和）、ボランチ・福西崇史（磐田）、遠藤保仁（Ｇ大阪）、トップ下・小笠原満男（鹿島）、ＦＷ大黒将志（Ｇ大阪）、玉田圭司（柏）。小笠原が加わった以外は前日練習と全く同じメンバーだった。ジーコ監督は最初から決めていたスタメンを北朝鮮戦のピッチに送り出すつもりだろう。
ミニゲーム後のＦＫ、ＰＫ練習では小笠原、遠藤、三都主、阿部勇樹（千葉）がキッカーとなった。このうち特に際立った精度を見せていたのが小笠原。美しい弧を描くキックを次々とゴールに蹴り込んでいた。中田英寿（フィオレンティーナ）も、中村俊輔（セルティック）も、小野伸二（フェイエノールト）もいない今回、攻撃陣をリードするのはやはり彼しかいない。「中心選手の自覚？そんなのはないけど、必要とあれば自分ができることをやるだけ。まあ、代表にはツネさん（宮本）がいるから状況を見ながらだけど」と本人は涼しい顔で話していたが、彼のキックは間違いなく日本の勝利を引き寄せるはずだ。
６月シリーズとは前線と中盤の顔ぶれも変わるが、本人は「そんなに気にすることはない」と言う。ただし「今回先発する玉田と大黒は高さがないから、足元で行った方がいい。後ろから蹴ったり、放り込むよりは下でつないでコンビで崩すイメージで行きたい」と注意すべきポイ
ントは明確にしている。
最近の鹿島でのゲームやマンチェスターＵ戦でもそうだが、今の小笠原には攻撃のイメージが豊富にある。それをいかに周囲に伝えていくかが今大会の重要なテーマになるだろう。そのためにも彼は鹿島同様のリーダーシップを見せ、周りを鼓舞していかなければならない。2004年アジアカップ（中国）で中村がＭＶＰを獲ったように、小笠原もこの大会の「顔」になれるだけの器がある。それだけの活躍を期待したい。
北朝鮮がどういうサッカーをしてくるか分からないが、やはり重要なのは先制点を確実に奪うこと。練習を見る限りだと、流れの中からのゴールはやや精度が低いものの、セットプレーは大いに可能性がある。小笠原や三都主の直接ＦＫ、あるいは中澤や福西の高さを生かした攻めで１点を奪うのが、勝利への近道だ。彼らが果たしてどんなプレーを見せてくれるのか。今野泰幸（ＦＣ東京）、田中達也（浦和）ら新たに招集されたメンバーたちにチャンスを与えられるのか。日本の戦いぶりに全てがかかっている。余裕ある勝利をぜひとも見せてもらいたい。
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ジーコ監督
「まともにメンバーが揃ったのが今日になってから。日数的に厳しかった。前回の苦い思い出があるので、１つ１つ戦っていきたい」……北朝鮮にとってはリベンジの場になるが？
「今年３回目になるが、相手もこちらもお互いをよく知っている。ただメンバーは両方とも違うので、感じも変わるだろう。誰が相手でも勝っていかないとタイトルは取れない。勝ちたい」
……ワールドカップ予選は結果重視、コンフェデレーションズカップは内容がよかったけれども、今回の位置づけは？
「両方重視する。前回の苦い思い出もあるし、全て勝つためにやってきた。新しいメンバーは五輪でもＪリーグでもやっているし、戦力として選んだつもり。勝ちながら内容も追求していきたい。どちらかに偏るとお客さんに失礼。代表のユニフォームを着ているなら全力で戦いたい」
……いろんな選手を使う気持ちはあるのか？
「力のあるメンバーを選んだし、全ての選手が試合に出る準備はできている。どの時間帯にとはいえないが、スタートで入ることもありえる。状況によっては途中からということもある。全員出したいが、勝つことを考えると、基本的にはメンバーを固定して入ることになる」
……大黒は北朝鮮戦で２ゴールして、今回は厳しいマークを受けると思うが？
「大黒の特徴は動きが左右に大きく速いこと。ゴールに向かう動きも大きい。ＤＦはマークしづらい。シュートへの思い切りもある。90分マークするのは厳しいだろうから、得点のチャンスも出てくるだろう」
……新しい選手をチームに慣れさせるための工夫はしたのか？
「いや。時間がもう少しあればできただろうが。でも見ているとみんなすごくいい。初めてとは思えない。指示としては、同じポジションの選手が同時に上がるなとかしか言っていない。代表チームにはなじみやすい雰囲気もあるし、選手同士の話し合いもしている。大会が始まってからも練習はできるし、すでにいいレベルに十分達していると思う。鹿島での練習試合を見た人は分かるだろうが、いい連携ができている。周りに支障をきたすことはないレベルにあるし、十二分にできると思う」
●宮本・小笠原・田中・大黒・玉田・遠藤選手のコメントは次ページで
