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“いぶし銀”ラーション、最後のW杯へ(2ページ目)

ヘンリク・ラーションにとって、今季のCLの決勝はバルセロナのブラウグラナ(カタルーニャ語で青赤の意)のユニフォームをまとった最後の試合だった。「スウェーデンの英雄」は、W杯後、最高の形で母国へ帰る……。

執筆者:斉藤 健仁

2つのクラブに遺した“置き土産”

チーム最年長、「スウェーデンの顔」としてドイツで戦う(©SvFF)
バルセロナ入団後、膝の故障で長期にわたり苦しんだが、今シーズンは最高の形で締めくくったラーション。W杯終了後、スウェーデンの地元ヘルシンボリへ入団することになっている。

CL決勝でのパフォーマンスを見ると、ラーションがスウェーデンに帰るのはまだ早いような気がしてならない。バルセロナの同僚、ロナウジーニョも「彼が去ることはものすごく寂しい。ヘンリクを失うことはバルサにとって痛手になるだけじゃない。彼は僕のアイドル、そして親友なんだから。それでも、ヘンリクの意志は尊重すべきだから、何も言わないよ。ただ本当に寂しいけれどね」と賛辞を送る。

本人は「僕はもう35歳だ。残りのキャリアはサッカーを楽しみたい。それに長男はもうすぐ12歳になる。母国で暮らしたことがない子どもたちに、スウェーデンの美しさを教えてあげたい」と後悔は無いようだ。

ラーションはバルセロナにビッグイヤーをもたらしただけではない。この優勝により、セルティックがCL本戦出場に繰り上がったのだ。ラーションは自身が愛した2つのクラブに大きな置き土産を遺す結果となった。

6月から始まるドイツW杯。おそらくこれが本当にラーションの「ブローギューラ(スウェーデン語で青黄の意)」ことスウェーデン代表としての最後の姿となるだろう。

この数年、あの金色の長い長髪から坊主頭になって、彼はまるで修行僧のような顔つきになった。プレーも、ストライカー特有の我の強さが影を潜め、CL決勝の時のような視野の広さと判断力でボールを運びチームの勝利に貢献していた。代表でもラーションが、10歳年下のイブラヒモビッチを上手くリードすることができれば、スウェーデンの快進撃も現実的な話になるはずだ。

年齢とともに輝きを増したラーション。スウェーデン国民に大きな贈り物を携えて、故郷に戻ることができるだろうか。

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