湖を舞台にしたフライフィッシング
早朝、朝靄がけむる中、祈りと願いをこめた第一投。大物の気配がただよく期待溢れる瞬間だ。 |
渓流と違い、湖はトラウトたちにとって海の代わりになっていることもある。トラウトたちは降海するという行動が遺伝子に組み込まれている。日本では砂防ダムや河川の改修などの影響で、降海がままならない地形の地域も多い。そういう地域に湖がある場合、トラウトはこれを海の代用としてエサをたくさん食べて大きくなるのだ。
湖でのフライフィッシングはそうしたネイティブに近い大型トラウトもターゲットになる。もちろん、放流を盛んに行っている場所ではいつもどおりの小~中型トラウトもよく釣れる。しかし、せっかく湖で狙うからにはぜひとも大型に的を絞った攻め方をしてほしい。そう、気分はまさにハンターなのだ。
湖に適したタックルは?
湖に持ち込むタックルだが、これは非常に幅広い。湖の規模、浅瀬の有無、トラウトの泳層、エサとなる生き物の種類など、様々な要因を考えて選ばなければならないので、一概にこれであるということは中々言いづらい。しかし、ガイドの経験からオススメのタックルを紹介させてもらうと5番ロッドと8番ロッドの2種類だ。小回りの効く5番ロッドは浅瀬が連続するような湖で効果的。深場狙いや遠投をせずテンポ良く釣るにはこれぐらいがちょうど良いと感じる。また、8番ロッドは後述するシューティングヘッドと組み合わせて、様々な泳層を狙うときやカケアガリのブレイクライン(急に深くなる場所)を攻めるのに最適だ。ある程度遠投し、じっくり沈める釣り方に適したロッドだ。これがシューティングヘッドシステム。ヘッド部分はすぐに取り替えられるので、沈下スピードの違うヘッドなどを数種類用意しておきたい。 |
ただし、ちょっと投げ方にはちょっとコツが必要になる。簡単にいうと、最初からシューティングヘッド部分を全部出してフォルスキャストし、軌道に乗ったらすぐにリリースする。フライキャスティングとルアーのキャスティングが組み合わさった感覚だ。達人になるとワンキャストで50m以上の距離を出すことが可能。一般のフライラインの全長が26~28m程度なので倍以上の飛ぶのだ。もっともロッドとのバランスが悪いとどうにもならないので、シューティングヘッドシステムを購入するときは必ず店員さんにアドバイスしてもらおう。
さて、最後にリーダーとティペットだが、こちらは5x~3xを用意しておこう。大型トラウトばかりの湖ではそれ以上が必要になることもあるが、その場合は別途準備すればオッケー。通常の湖で最大60cmクラスを狙うのなら5xでも十分余裕がある。太いリーダーやティペットを用意しておくのは浅瀬を攻めるときの根ズレ(ラインが障害物や底をこすること)対策の意味合いが大きい。地形的に不利だな、と感じたらワンランクかツーランク太いラインを使うように心がけよう。