アート・美術展/アート・美術展関連情報

注目の現代美術+オークション 実践編(3ページ目)

盛り上がりを見せるアートオークションのシーンを紹介するとともに、具体的な参加方法や実際の現場の雰囲気をお伝えします。

執筆者:橋本 誠

熱気あふれるオークションの会場

オークション
オークションはオークショニアと呼ばれる進行役によって、作品のロット(通し番号)順に進められます。

参加者はそれぞれ番号が付いたパドルを持ち、オークショニアが提示した価格で購買意思があれば挙げ続けます(ビッド)。ほかにも購買意思のある参加者がいれば価格は上がり続け、最終的に1人になったところで競売が成立しオークショニアがハンマーを叩きます。この時の価格がハンマープライスとなり、落札者が決定します。

作品が落札されないこともあります。出品者とオークションハウスの間ではリザーブプライス(最低売却価格)が設定されており、その価格以上でビッドされない場合は不落札となるのです。

ちなみにオークション会場でパドルにより参加する他にも、あらかじめ入札を入れておくなどといった参加方法があります。

今回の「コンテンポラリー アート オークション」でも、上記のような方法でオークションが進められました。

天明屋尚
天明屋尚《鵺》
アートオークションの面白いところは、作品の価値が制作当時よりも大幅に変動していたり、そうでなくても気に入って「欲しい」と思う方が複数人いれば、価格がどんどんとつり上がっていくところです。

ひと作品につき、数10秒から1分ほどで結果が出るのですが、エスティメイトよりも安い価格で落札されるものもあれば、何倍も高い価格で落札されるものもあります。

例えば2005年に31歳の若さで亡くなった石田徹也の作品《野性》は、エスティメイトが50~70万円だったところが、660万円でという高価格で落札されました。作者が亡くなっていて新作が望めない上に、世の中に出回っている作品が少ないため人気を集めたと考えられます。

日本画の技法に現代的なモチーフを取り入れて、近年人気を集めている天明屋尚の作品《鵺》も人気でした。こちらはエスティメイトが400~600万円だったところが、なんと1650万円で落札。競りの開始からあっという間に1000万円の大台を突破し、2名の参加者が粘り強く競り続けている様子が印象的でした。

今回のオークションは、全体としても95%の落札率、落札の合計額が約1億8千万円と非常によい結果を収めたそうです。参加者も一時は会場から溢れるほど多くの人数となり、終始熱気のある取引が行われていました。

アート作品の価値は数字だけで計ることはできませんが、それでも「価格」という、美術館的な評価や評論とはまた異なった基準が示される様子は興奮の連続です。

ぜひ一度、その独特の雰囲気を味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。

最後のページでは、主要各社のオークション予定をお伝えします!
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