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マティス、ピカソ 20世紀の脱写実的表現(2ページ目)

フォーヴィスムの代名詞アンリ・マティスとキュビスムの創始者パブロ・ピカソ。2人の画家を中心に紹介する「巨匠で見るアート」第6回。

執筆者:橋本 誠

絵画の中で独自の立体表現を試みたキュビスム

美の20世紀〈1〉ピカソフォーヴィスムが色彩における絵画革命であったとすれば、キュビスムは形態と構成における革命でした。その最も中心的な人物が、皆さんがご存知のパブロ・ピカソです。

例えばキュビスムの手法で人物が描かれる時、目は正面を向いているのに鼻は横から見た形になっていたり、身体や手足がねじれたような位置関係で描かれていたりします。これはルネサンス以後貫かれていた遠近法とは異なり、複数の視点から対象を見て、それをひとつの画面の中に構成している手法なのです。

対象を幾何学的な立体(キューブ)のようにしてとらえ、展開図のように分解して画面に再構成していることから「キュビスム」と呼ばれています。

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キュビスムの画家たち

ピカソの他に活躍したキュビスムの画家としては、 ジョルジュ・ブラック(1882-1963)やファン・グリス(1887-1927)などがいました。

ブラックは、初期の頃はマティスの影響を受けてフォーヴィスム風の作品を制作していましたが、ピカソの《アヴィニオンの女達》を見たことで衝撃を受け、キュビスムに転向したと言われています。

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グリスの特徴はキュビスムの中には珍しくカラフルな色彩を用いていることで、形態も比較的明確な形態で、何が描かれているかわかりやすい作風です。

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キュビスムの流れはその後、幾何学的構成を持ち込んだ抽象絵画につながったり、現代アートの巨匠マルセル・デュシャンに影響を与えたりしました。

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いかがでしたでしょうか。フォーヴィスムとキュビスムは、作家独自の世界観や視点を取り込んだ運動であり、個の時代である20世紀の美術を予感させる表現だったと言えるでしょう。

「巨匠で見るアート:近・現代編」の次回はとりあえずの最終回。カンディンスキーやモンドリアンなど抽象画を取り上げます。お楽しみに!
『美の20世紀〈1〉ピカソ』アナトーリ ポドクシク著
ピカソらキュビスムの作家は、対象を複数の視点から眺めてひとつの画面上に再構成する試みを行った
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