絵画の中で独自の立体表現を試みたキュビスム『美の20世紀〈1〉ピカソ』アナトーリ ポドクシク著ピカソらキュビスムの作家は、対象を複数の視点から眺めてひとつの画面上に再構成する試みを行ったフォーヴィスムが色彩における絵画革命であったとすれば、キュビスムは形態と構成における革命でした。その最も中心的な人物が、皆さんがご存知のパブロ・ピカソです。例えばキュビスムの手法で人物が描かれる時、目は正面を向いているのに鼻は横から見た形になっていたり、身体や手足がねじれたような位置関係で描かれていたりします。これはルネサンス以後貫かれていた遠近法とは異なり、複数の視点から対象を見て、それをひとつの画面の中に構成している手法なのです。対象を幾何学的な立体(キューブ)のようにしてとらえ、展開図のように分解して画面に再構成していることから「キュビスム」と呼ばれています。ポスター販売サイト「アール・アートグッズ」ピカソ作品ページへのリンク>>こちらからキュビスムの画家たちピカソの他に活躍したキュビスムの画家としては、 ジョルジュ・ブラック(1882-1963)やファン・グリス(1887-1927)などがいました。ブラックは、初期の頃はマティスの影響を受けてフォーヴィスム風の作品を制作していましたが、ピカソの《アヴィニオンの女達》を見たことで衝撃を受け、キュビスムに転向したと言われています。ポスター販売サイト「アール・アートグッズ」ブラック作品ページへのリンク>>こちらからグリスの特徴はキュビスムの中には珍しくカラフルな色彩を用いていることで、形態も比較的明確な形態で、何が描かれているかわかりやすい作風です。「Arts at Dorian」グリス作品紹介へのリンク>>こちらからキュビスムの流れはその後、幾何学的構成を持ち込んだ抽象絵画につながったり、現代アートの巨匠マルセル・デュシャンに影響を与えたりしました。【関連記事】モネ、セザンヌ 印象派から後期印象派へ…印象派のクロード・モネ、後期印象派のポール・セザンヌを中心に紹介した「巨匠で見るアート:近・現代編」記事20世紀最大の問題児!? M・デュシャン…「レディ・メイド」など従来では考えられなかった作品で同時代の人々を驚かせたマルセル・デュシャンを紹介した「巨匠で見るアート:近・現代編」記事ピカソの若い時の作品に会えるピカソ美術館…ピカソが青年期を過ごしたスペイン・バルセロナにあるピカソ美術館を紹介する「スペイン」ガイド記事【関連サイト】ピースフル・アート・ランド びそう…様々な美術家データや美術運動を紹介しているサイト。フォーヴィスムやキュビスム、未来派など20世紀の運動様式も多い。アート at ドリアン…西洋美術史の運動様式に沿って説明と画像を掲載しているサイト。いかがでしたでしょうか。フォーヴィスムとキュビスムは、作家独自の世界観や視点を取り込んだ運動であり、個の時代である20世紀の美術を予感させる表現だったと言えるでしょう。「巨匠で見るアート:近・現代編」の次回はとりあえずの最終回。カンディンスキーやモンドリアンなど抽象画を取り上げます。お楽しみに!【編集部おすすめの購入サイト】Amazonでアート関連の商品をチェック!楽天市場でアート関連の商品をチェック!前のページへ12※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。