2006年の見どころ
それでは、今年の「大地の芸術祭」はどのような内容になるのでしょうか。まずは今回、新たに試みられるプロジェクトをご紹介します。「空家プロジェクト」にはBankART1929や建築グループのみかんぐみが参加 |
例えば、横浜の文化施設BankART1929がオーナーとなる空家では、建築グループでありながら美術作品なども発表しているみかんぐみが改修を担当。BankART1929で行われている公開講座の特別企画として協働者を募り、10日間の合宿ワークショップ形式でプロジェクトを実施するそうです。
伊藤庭花 「小白倉いけばな美術館」ではリレー形式で生け花を展示 |
「小白倉いけばな美術館」は、生け花界をリードする21名の作家が、旧川西町小白倉集落の民家3軒を中心に一週間単位でリレー展示を開催。集落全体を美術館として見せるプロジェクトです。
会期中は里山の自然を楽しみながら生け花を体験できる「いけばな里山学校」も開催されるとのこと。
いずれのプロジェクトも、越後妻有固有の問題や魅力を捉え、実施される取り組みです。
里山を舞台にした作品も新たに誕生
もちろん、里山を舞台にした作品も新たに制作されつつあります。ここでは、ひと足先におすすめの作品をご紹介します。木村崇人《星の木もれ陽プロジェクト》 ピンホールレンズの原理を応用して、地面に星の形をした「木もれ陽」を映す作品 |
日比野克彦《明後日新聞社文化事業部 - 一昨日テレビ局広報宣伝部》 地域や「大地の芸術祭」関連の情報を村の人の目線で伝えるインターネット番組を配信 |
日本大学芸術学部彫刻コース有志《脱皮する家》 古くなった民家の柱や梁などを彫刻することで家全体を再生させるプロジェクト |
このような風景そのものをつくり出すダイナミックなプロジェクトは、他の芸術祭や美術展ではなかなか見ることができないものです。
日比野克彦《明後日新聞社文化事業部 - 一昨日テレビ局広報宣伝部》は、2003年に廃校を再利用して開設、地域や「大地の芸術祭」関連の情報を発信した「新聞社」のテレビ局版。「本社」を飛び出し村の各家をスタジオにして、村人が気になったニュースを伝えるインターネット番組を配信するそうです。
こまめにチェックをしておけば、「大地の芸術祭」を別の視点で楽しむことができる情報が入手できるかもしれません。→明後日新聞社文化事業部のホームページ
日本大学芸術学部彫刻コース有志は、古くなった民家の柱や梁などあらゆる部分を彫刻することで家全体を「脱皮」させ、全く新しい表情を生み出します。
彼らのように、作家ではなく、大学などの研究機関単位などで参加をしているグループが多いのも「大地の芸術祭」の特徴です。
イベントも多数開催されます。7月22日の前夜祭には、ドミニク・ペローが設計した能舞台「バタフライパビリオン」のこけら落しとして能・狂言公演「震災復興祈願 妻有観世能」が行われます。
8月19日には、「まつだい雪国農耕文化村センター」の舞台で、ダンス・映像・音楽・ファッションが融合した作品づくりで定評のあるグループニブロールが「NO DIRECTION, everyday」を発表。2003年にも同会場で発表した舞台作品が好評を博したグループです。
他にも、実にたくさんの作家らにより作品が制作され、様々なイベントが開催されます。どのような芸術祭になるのか今から非常に楽しみです。
最後のページでは、「大地の芸術祭」の基本情報をご紹介します。