ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

さよなら夢水清志郎

はやみねかおるの代表作〈名探偵・夢水清志郎事件ノート〉がフィナーレを迎えました。

執筆者:福井 健太

ジュニアミステリーの第一人者
はやみねかおる

『怪盗道化師』
アルセーヌ・ルパンに憧れた"西沢書店のおじさん"は、人々に笑顔を与える怪盗になろうと決意する。第30回講談社児童文学新人賞の佳作に選ばれたデビュー作。
ミステリーは大人だけの読み物ではない。多彩なジュヴナイルやリライト版を通じて、ミステリーの楽しさに目覚めた子供は(昔も今も)多いはずだ。書店の児童書コーナーを見れば解るように、そこでは多くの作家たちが活躍しているが、その代表格とも言うべき存在が"はやみねかおる"なのである。

はやみねかおるは1964年三重県生まれ。三重大学教育学部卒。小学校の教師を勤めるかたわら投稿を始め、1990年に「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞に佳作入選。〈名探偵・夢水清志郎事件ノート〉〈怪盗クイーン〉〈都市のトム&ソーヤ〉などのシリーズで――子供のみならず――広範な読者を獲得している人気作家だ。全14巻(+番外編1巻)からなる〈名探偵・夢水清志郎事件ノート〉は累計240万部を越える大ヒット作であり、3月に上梓された『卒業~開かずの扉を開けるとき~』はその完結編にあたる。

名探偵・夢水清志郎とは

『そして五人がいなくなる』
正体不明の"伯爵"によって子供たちが次々に消されていく。夢水清志郎シリーズの記念すべき第1作。
自分の年齢を忘れるほどの天然ボケ、食い意地の張った怠け者、読書家でかつては論理学の教授をしていた、長身でいつも黒のサングラスとスーツを身に付けている――そんな奇人・夢水清志郎は自他共に認める名探偵だ。"幽霊屋敷"と呼ばれる古い洋館に住み、隣人である岩崎家の世話になっているが、ひとたび事件が起きると天才的な推理力で真相を見抜くのである。

このシリーズは岩崎家の三つ子(亜衣、真衣、美衣)の長女・亜衣の視点から書かれており、第1作『そして五人がいなくなる』で夢水と知り合った彼女たちは、天才児たちの消失、学園の伝説にまつわる怪異、映画のロケに訪れた島で人間や山が消えていく謎、山荘での推理ゲームの最中に起きた難事件――などに巻き込まれ、夢水の名推理を拝聴することになる。語り口はジュニア小説の"それ"だが、作中の謎と推理は大人の読者にも楽しめるものと言えるだろう。

次のページでは『卒業~開かずの扉を開けるとき~』を御紹介します。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます