『おっぱいとトラクター』
<DATA>タイトル:『おっぱいとトラクター』出版社:集英社著者:マリーナ・レヴィツカ訳者:青木純子価格:840円(税込) |
まず、金とパスポート目当てで84歳の老人と結婚したことを隠さない巨乳美女ヴァレンチナが、あこがれの西側生活を実現しようとして巻き起こす騒動の一つひとつ(特に276ページの大乱闘!)が可笑しい。欲ばりだけれど、愛嬌もあって憎めません。
おっぱいとトラクターに夢中になる老人のキャラクターは強烈ですし、なけなしの財産をめぐって「渡る世間は鬼ばかり」的なドラマが繰り広げられます。わたしが好きなのは、ヴァレンチナの元夫がやってきて、老人としばらく同居するところ。ちょっとずれた男同士の近づき方が微笑ましいのです。
作品全体にあふれるユーモアの源泉は……