ロブとキャシーの名コンビが……
<DATA>タイトル:『悪意の森』下巻出版社:集英社著者:タナ・フレンチ価格:800円(税込) |
相棒のキャシーは、大学に巣食う麻薬密売組織の潜入捜査に貢献し、28歳という(アイルランドの警察では)異例の若さで殺人課に抜擢されました。容姿はボーイッシュ。陽気で誰とでも話しますが、どこか陰がある。
そんな2人は仕事上のパートナーで、気の合う友達同士でもあります。例えばロブがキャシーの家に泊まりに行って、ソファでお酒を飲みながら、〈靴下の悪臭波〉について会話したりする。尋問するときは即座に役割分担して、有力な証言を引き出す。事件は陰惨だけれども、名コンビによるチームプレイが気持ちいいのです。
しかし、事件の捜査が進むにつれて、ロブは過去の事件の記憶に苛まれ、精神のバランスを崩していく。やがてキャシーとの間にある出来事が起こり、コンビの絆も危うくなります。2人の友情はどうなるのか、はらはらしながら読み進めていくと、驚愕の真相が……。
事件も犯人も一見凡庸なのに、異様な内面を持っている。特にある人物の怪物性は突出しています。7賞受賞も納得。読み応えのあるミステリーです。
【今年一番の話題の本といえばこれ】
・寄り道しながら『1Q84』を読む【1】