1.ロボット小説のプロトタイプアイザック・アシモフ『われはロボット』
<DATA>タイトル:『われはロボット』出版社:早川書房著者:アイザック・アシモフ価格:760円(税込) |
時は2057年。ロボット製造業で知られる企業の創業75周年を記念して、75歳のロボ心理学者スーザン・キャルヴィンが、ロボットの歴史をふりかえる。彼女が語るエピソードの一つひとつが、短編小説になっている。
子守ロボットと少女の絆を描いた「ロビイ」、自分が人工物であることを信じないロボットに人間が翻弄される「われ思う、ゆえに……」、ロボットではないかと噂される法律家をめぐる騒動「証拠」などなど、じわっと目頭が熱くなるものから結末にあっと驚かされるものまで、収録作はバラエティ豊か。キャルヴィン博士が若き日のほろ苦い思い出を語る「うそつき」もおすすめ。
また本書について語る上で欠かせないのは、ロボット工学の三原則だろう。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
外見は人間と区別がつかないロボットが、三原則に基づいて行動することで、機械だとわかるようになっている。解説によれば、アシモフが「うそつき」について編集者と打ち合わせた際に誕生したそうだ。この三原則は、後の作品にも多大な影響を与えた。
もしも、人間に仕えるアンドロイドが反乱をおこしたら……。次ページではもう1冊のはずせない名作をご紹介。