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感動のロボット小説BEST5(2ページ目)

2009年10月に映画「ATOM」が公開予定。『鉄腕アトム』をはじめとして、なぜロボットの物語は人間の心をとらえるのか? ロボットを題材にした小説を集めてみました。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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2.アンドロイドと人間の違いとは?フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
<DATA>タイトル:『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』出版社:早川書房著者:フィリップ・K・ディック価格:756円(税込)
フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』もはずせない名作だ。舞台は、第三次世界大戦後、生きている動物を飼っているのがステータスになっている世界。電気羊しか持っていない主人公のリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡した8人の奴隷アンドロイドの行方を追う。地球に不法入国したアンドロイドは知能も高く、人間とほとんど区別がつかない。その首には莫大な賞金がかけられていた。

アシモフの小説では、人間に危害を与えることができないものがロボットと判断された。一方、本書で人間とアンドロイドを見分けるために使われるのは、例えば感情移入度測定検査だ。社会的な状況の例をいくつかあげて、それに対する被験者の反応を見る。熊皮の敷物や闘牛のポスターなど、質問にさりげなく動物の死をあらわすイメージがおりまぜられる。不快に感じると針が動き、そのふれ幅が感情移入度を示す。生き物に対して感情移入度が高いのが人間ということらしい。

ところが、リックはいつしか、アンドロイドに感情移入するようになり、自分の仕事に疑問を抱くようになっていく。

リックの苦悩にも共感をおぼえるが、アンドロイドを匿う孤独な男イジドアが悲しい。彼らの言動を通じて、生きているとはどういうことか、人間とは何か、自分と異なる種を愛せるのか、考えずにはいられない。

もしも、ヒトに代わってマシンが世界を支配したら……。次ページでは人間と機械の共存をテーマにした物語をご紹介。

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