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手紙は面白い!森見登美彦『恋文の技術』(2ページ目)

教訓なんて求めない。小説は役になんか立たなくていい! 面白ければ。そんな面白主義者に捧ぐ、森見登美彦のラブリーラブリーな書簡体小説『恋文の技術』を紹介。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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心のなかのマシマロのような部分

恋文の技術
<DATA>タイトル:『恋文の技術』出版社:ポプラ社著者:森見登美彦価格:1,575円(税込)
そもそもなぜ守田は大量の手紙を書いているのか。希代の文通上手になって世界征服をするとか、会社を立ち上げるとか、冗談だらけの文章から、ちらちらと本当の理由が見えてくる。

それは、心のなかの一番傷つきやすく柔らかい部分にかかわること。自意識過剰でナイーブな自分にうっとりするのではなく、ちょっとずらしたり、距離をとって描く。森見登美彦はそういう技術にたけている。笑いながらも痛い部分を突かれる、実は油断ならない小説なのだ。

恩田陸の『ブラザー・サン シスター・ムーン』と書き方は違うけれど、書いていることの本質は同じ。青春時代ならではの“迂回”を読みたい。

【関連サイト】
この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ…森見登美彦のブログ。日常や新刊情報が綴られている。

サムネイルのクラゲ画像Photo by (c)Copro

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