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卒業シーズンに恩田陸の青春小説(2ページ目)

3月といえば卒業シーズン。小説で学生時代を振り返ってみる、というのはいかが? 『夜のピクニック』の恩田陸による大学生小説をご紹介。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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語らないことで浮かび上がるもの

夜のピクニック (新潮文庫)
<DATA>タイトル:『夜のピクニック』出版社:新潮社著者:恩田陸価格:660円(税込)
6年間住んでいたアパートから見えた風景、高校時代の課外授業の思い出、そのとき一緒だったハコちゃんのこと、大学のサークルで知り合い仲良くなったアキコのこと。

散々回り道をしたあげく、ようやく“ある出来事”が明かされる。作中で綾音もいっているが、とてもささやかな出来事だ。だけど、彼女はこのことをきっかけに、自分が何になりたいのか気づいてしまう。

自分が何を望んでいるのか、直視できない。望んでいることすら、誰にも知られたくない。だから、その周辺をぐるぐる回る。中心には踏み込めなかったのだ。第一章の最後の最後で、さらっと触れた“あの人”に対しても。

続く戸崎衛(とざきまもる)、箱崎一(はこざきはじめ)の章も、核心を迂回する話だ。本当になりたいもの、本当に好きな人のことを口にするのが、どうしてそんなに怖いのか。

大学時代って不思議だ。なんとも切ない。そして痛い。


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