芋粥/芥川龍之介 著

■作品のあらすじ:
身分の低い侍(名前は表記されず、ただ「五位」と身分をもって呼称されている)が、当時なかなか口にできなかった芋粥。

彼がふと「何時になったら、これに飽ける事かのう」とつぶやいたのを、周りが嘲笑い、囃し立て、ついに藤原利仁が(酔っぱらった体で)「お望みなら、利仁がお飽かせ申そう」と、芋粥をごちそうしてくれることになる。

が、後日、いざ芋粥をごちそうになったとき、五位は……。

■おすすめの理由やエピソード:
芥川の初期作品の一つです。この頃は人間の心理、それは、例えば『地獄変』では芸術家としての自分と親としての自分の狭間、例えば『鼻』では自身の認識(怒りの狭間)、『羅生門』では良心と悪事を働いても生きることへの狭間……そういうものを描いていた時期です。本作でも、人間の微妙な心理をくどいほど精緻に描いて、見事です。

『鼻』もタイトルからしてそうですが、本作『芋粥』の冒頭や五位の処遇に関しても、あからさまにニコライ・ゴーゴリ(ロシアの作家、主著に『鼻』『ネフスキー大通り』『外套』等)の影響というか、完全にパクっているので、ゴーゴリ好きな方にも是非。

※ちなみにゴーゴリ好きは文学界には多いようで、魯迅(主著『阿Q正伝』)もタイトルそのまま『狂人日記』というのを書いています。



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