山本兼一『利休にたずねよ』
<DATA>タイトル:『利休にたずねよ』出版社:PHP研究所著者:山本兼一価格:1,890円(税込) |
あの日、女に茶を飲ませた。あれからだ、利休の茶の道が、寂とした異界に通じてしまったのは。
と、死の直前に利休は過去をふりかえります。
茶室を極端に狭くした理由。利休が大事に持っていて決してだれにも触れさせない美しい緑釉の香合(茶室で焚くお香の入れ物)の来歴。一服の茶を満足に喫することに命をかけるようになったきっかけ。すべてがひとりの美しい女に通じている。
本書を読むと、茶道という枯れたイメージのある文化が艶めかしく見えてきます。
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