昭和初期の日本を舞台にお嬢様と運転手の冒険を描く

街の灯 (文春文庫)
<DATA>タイトル:『街の灯』出版社:文藝春秋著者:北村薫価格:500円(税込)玻璃の天
<DATA>タイトル:『玻璃の天』出版社:文藝春秋著者:北村薫価格:1250円(税込)
先日、第141回直木賞が発表されました。受賞作は北村薫『鷺と雪』。昭和初期の日本を舞台に、裕福な家庭に生まれ育った女学生・花村英子と、お抱え運転手のベッキーさんがさまざまな事件の謎を解く連作ミステリーの完結編です。シリーズものですので、まずは英子とベッキーさんが初めて会う第一弾の『街の灯』から読みましょう。

ちなみに、ベッキーさんとは、英子が小説『虚栄の市』の主人公にちなんでつけた愛称。本名は別宮(べっく)みつ子といいます。英子の父は「知っている人の娘さん」というだけで、素性はわかりません。当時の女性としては珍しく車の運転ができて、物語が始まって間もなくわかることですが、腕も立つ。おまけに聡明です。ふたりは、新聞に載った変死事件や英子の兄が友人から出題された暗号、映写会上映中に遭遇した同席者の死の真相を明らかにしていきます。

第二弾の『玻璃の天』では、謎めいていたベッキーさんの正体がわかり、ほのかな恋を予感させる出会いもありますが、世の中はだんだん不穏な雰囲気になっていきます。そして最後の『鷺と雪』で、英子も周囲の人々も、否応なく運命の日を迎えることになるのです。

ベッキーさんシリーズの魅力とは?