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年末年始に読みたい『赤めだか』(2ページ目)

いよいよ今年も終わり。お正月の読書に、落語を題材にした一冊なんていかがですか? 赤穂浪士の話も出てきます。2008年の話題作、『赤めだか』をどうぞ。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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タイトルの由来にもなっている「赤めだか」事件とは?

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修業中のエピソードで最も印象的なのが、タイトルの由来にもなっている赤めだか事件。

談志は弟子にいっぺんに大量の指示を出すのだそうです。しかも思いつくまま言いつけるので、聴いている方はまったく覚えられません。でも本人はひとつ残らず覚えていて、一日の終わりに必ずチェックをいれる。弟子たちは毎回大パニックに陥ります。

特に酷いのが、談春とほぼ同時期に入門した談秋。生真面目で気の小さい性格が災いし、何か言いつけられるたびに信じられないような行動をとるのです。おかげで、談志が可愛がっていた金魚に、とんでもない災難がふりかかります。その金魚は、いくらエサをやっても大きくならず、弟子たちに赤めだかと呼ばれていました。ある日、談秋は師に命じられて金魚にエサをやるのですが、麩一本を丸ごとつぶして水がめに入れてしまいます。

水がめいっぱいに膨らむ麩。そのなかで溺れ、ピクピクしている赤めだか。談秋の壊れっぷりが、笑えるやら怖ろしいやら。いつになく優しい談志の対応が切ないやら。金魚らしくならないまま、エサのなかで溺れる赤めだかと談秋、そして四十七士にならずに逃げた侍の姿が重なります。

他にも1年間なぜか築地魚河岸で修業させられたときの失敗談や、5万円の軍資金を競艇で増やして二ツ目披露の着物を揃えようとしたときの顛末、談志と師匠の五代目柳家小さんの泣ける逸話など、そのまま落語になりそうなエピソードがいっぱい。

100年に一度の不況なんていわれて、後半は暗い雰囲気だった2008年。笑う門には福来たる、という願いも込めて、この本をオススメします。

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