キュートな狸一族と天狗、人間が入り乱れて巻き起こす大騒動! 愛と笑いと奇想に満ち満ちた、森見登美彦『有頂天家族』をオススメ。

主人公はタヌキ!~下鴨家の面々

有頂天家族
可愛いタヌキと偏屈な天狗、そして人間たちが巻き起こす騒動を描く! 脳内で思わずアニメ化してしまう奇想天外で美しい場面多数。<DATA>タイトル:『有頂天家族』出版社:幻冬舎著者:森見登美彦価格:1,575円(税込)
まず、本書に登場する魅力的な狸(タヌキ)一家を紹介しよう。糺ノ森に住む下鴨家。メンバーは以下の通り。

総一郎…偉大な父。通り名は狸界を束ねる者に与えられる「偽右衛門(にせえもん)」。四男が生まれた年の暮れ、狸鍋の具となり、あっけなくこの世を去る。

母上…タカラヅカと息子を愛する肝っ玉母さん。モダンボーイ風美青年に化け「黒服の王子」が通り名。雷が苦手。

矢一郎…長男。次期の「偽右衛門」を目指す。生真面目だが土壇場に弱い。怒ると虎に変身するので通り名は「鴨虎」。

矢二郎…二男。酒好きの暢気者だったが、父の死後、蛙に化けたまま、六道珍皇寺の井戸の中に引きこもる。

矢三郎…三男。物語の主人公で、高杉晋作ばりのオモシロ主義者。通り名の「腐れ大学生」他、さまざまなものに化けられる。

矢四郎…四男。史上未曾有の化け下手で、あだ名は「尻尾丸出し君」。指先で携帯電話が充電できる。

偉大な父を超えようとリキむあまり空回りする長男、生きる意欲を失い井戸の中の蛙として暮らす二男、才能はあるのに面白おかしいことにしか使わない三男、純真でみんなに愛されているが何もできない四男。兄弟を包み込むやさしい母。骨格は古風なホームドラマなのだが、そこは森見登美彦、ただのホームドラマではないわけで……。

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