荻原浩『愛しの座敷わらし』
<DATA>タイトル:『愛しの座敷わらし』出版社:朝日新聞出版価格:1,890円(税込) |
出世の道を閉ざされた晃一は、これから家族との生活を大事にしようと思うが、すでに家庭には居場所がない。妻の史子はセックスレスの夫にも手がかかる姑にも不平たらたら。中学生の娘・梓美は友だち関係に悩み、小学生の智也は母親の過保護に困り気味。晃一の母・澄代は「高齢者うつ」と診断されている。問題だらけの家族が、座敷わらしとの出会いをきっかけに、だんだん変わっていく。
犬が苦手で、カエルの人形がお気に入り。言葉はしゃべれないが、智也がけん玉を教えると、いつも何かに驚いているような目をきらきらと輝かせる。気がつくと史子の背中におぶさって眠っている。どこまでも無垢な座敷わらしのかわいらしさに魅了される家族小説。
第139回芥川賞・直木賞特集INDEXに戻る
【ガイドの日記】
・「石井千湖日録」…最近気になる新刊、積読、読了本など紹介しています。