底が見えないといわれる出版不況の中、読物をメインにした雑誌が相次いで創刊され話題になっている。なかでも「モンキービジネスmonkey business」は、翻訳家・柴田元幸氏が責任編集をつとめるユニークな文芸誌。その内容とは?

「モンキービジネス monkey business」創刊!

モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号
<DATA>タイトル:『モンキービジネス monkey business 2008 Spring vol.1 野球号』出版社:ヴィレッジブックス責任編集:柴田元幸価格:924円(税込)
読物雑誌で重要なのは、まず執筆陣だ。この人が書いているなら、ということで買うことが多いのではないだろうか?

個人名を大々的に打ち出した雑誌というと、松尾スズキ氏がスーパーバイザーの「hon-nin」を思い出す。創刊の辞によれば、執筆陣は松尾氏の知り合いやリスペクトする書き手を集めたという。その結果、サブカルチャー好きなら読まずにはいられないメンツが揃っている。

では「モンキービジネス」はどうか。“野球号”と銘打っているだけあって、巻頭は「野球のダイヤモンド、小説の輪郭」という対談だ。相手は熱心な阪神ファンとしても知られる小川洋子。小川さんはいつごろから野球に興味を持つようになったのか? 弟と行った阪神対南海戦のエピソードは、そのまま小説になりそうな鮮やかさ。

またポール・オースターが日本人大リーガーについて語っていたり、ハワード・ノーマンとベイスターズの試合を観戦したり。海外の著名作家との野球談義も楽しい。

連載は川上弘美「このあたりの人たち」、小野正嗣「浦ばなし」、岸本佐知子「あかずの日記」、ダニイル・ハルムス「ハルムスの世界」、バリー・ユアグロー「Gangster Fables」。日本の書き手と海外の書き手が一緒に並ぶ雑誌は珍しい。翻訳家の柴田氏だからこそ、だろう。

ゲストも川上未映子古川日出男など豪華! 小説が好きならばたまらないラインナップのはず。

そして画期的なのは、新しい作品と古典が一緒に楽しめること。

現代文学と古典を一緒に楽しむ! 注目の柴田訳「血」「書写人バートルビー」の紹介は次ページに。