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宮部みゆきのファンタジー『英雄の書』

人気作家の最新作は物語をめぐるファンタジー。“英雄”に魅入られて、同級生を殺傷してしまった兄。少女は、本の助けを借りて、消えた兄を探す。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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人気作家の最新作は物語をめぐるファンタジー。“英雄”に魅入られて、同級生を殺傷してしまった兄。少女は、本の助けを借りて、消えた兄を探す。

もっとも美しく尊い物語“英雄”

英雄の書 上
<DATA>タイトル:『英雄の書 上』出版社:毎日新聞社著者:宮部みゆき価格:1,680円(税込)
ある日、小学五年生の森崎友理子(もりさきゆりこ)の周囲から、当たり前と思っていたものが、みんな消えてしまった。中学二年生の兄・大樹(ひろき)が、クラスの男子生徒をナイフで刺し、行方不明になったのだ。成績優秀でスポーツ万能で人気者のお兄ちゃんが、なぜ――。そんなとき、友理子は大樹の部屋にあった赤い本の声を聞く。大樹はあらゆる物語の源泉がある“無名の地”に封じ込められていた“英雄”を召喚したのだという。

会ったことのない大叔父・水内一郎(みのちいちろう)が遺した別荘。そこには世界中から古い本が集められていた。大樹は別荘から2冊の本を持ちだした。そのうちの1冊が“英雄”の写本だった。友理子は赤い本、アジュと一緒に別荘へ行き、アジュの仲間“賢者”に会う。“賢者”は語る。

“英雄”とは、お前の生きるこの“輪(サークル)”に存在するもののなかで、もっとも美しく尊い物語だ

そして、もっとも美しく尊い物語の影の部分、“黄衣の王”に取り憑かれた人間は戦を起こす、と。

次ページでは『英雄の書』の読みどころをピックアップ。

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