傾(かぶ)いてます! きくち正太『おせん』
<DATA>タイトル:『おせん(1)』出版社:講談社著者:きくち正太価格:580円(税込)ふろふき大根と水桶のエピソードが載っている第1巻 |
『おせん』は、講談社の雑誌「イブニング」で連載中のグルメ漫画。大学を卒業し、住み込みで修業を始めたばかりの江崎ヨシ夫(※原作では帳場係)の視点で、知る人ぞ知る老舗「一升庵」のスーパー女将・半田仙(おせん)の活躍を描く。食を中心に日本の伝統文化を再発見できる内容になっている。
が、描き方はかなり自由。おせんの一人称は「わっち」、語尾は「でやんす」。現代日本人とは思えぬ、まるで歌舞伎の登場人物のような言葉遣いだ。衣装も和服なのだが、髪はザンバラで、眼鏡をかけている。いつも大酒飲んで酔っ払い、着物はしょっちゅうはだけているし、およそ老舗料亭の女将らしくない姿。人目につくような変わった身なりや行動をすることを「傾く(かぶく)」という。歌舞伎の由来になった言葉だ。おせんは世の常識を覆す「かぶき者」として創造されたキャラクターなのだろう。
かぶき者おせんの才能とは?