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村上春樹から出発!翻訳ショート・トリップ

新訳『ティファニーで朝食を』が話題の村上春樹から出発! 翻訳家を軸に海外文学の魅力を探るショート・トリップ。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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今まで読んだことのないような小説を読みたい――そんな人にオススメなのが海外文学だ。日本とは異なる文化も、それによって生まれた表現も新鮮。でもなぜか苦手意識を持っている人もいる。もしかしたら、自分にぴったりの翻訳が見つかっていないのかも? 新訳『ティファニーで朝食を』が話題の村上春樹から出発! 翻訳家を軸に海外文学の魅力を探るショート・トリップ。

村上春樹にため息をつかせた作家トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』

ティファニーで朝食を
<DATA>タイトル:『ティファニーで朝食』出版社:新潮社著者:トルーマン・カポーティ訳:村上春樹価格:1,260円(税込)
高校生の時の村上春樹に、こんな上手な文章はどう転んでも書けないよと深いため息をつかせたという作家が、21歳という若さでデビューし「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」と呼ばれたトルーマン・カポーティだ。『ティファニーで朝食を』は、オードリー・ヘップバーン主演で映画化もされ大ヒットした代表作。映画は見た、ストーリーは知っている、という人にこそ本書を読んでほしい。ホリーというヒロインのイメージが変わるはず。

名刺には「ミス・ホリデー・ゴライトリー、トラヴェリング(旅行中)」の文字。夜になると街へ出て行き、しばしば鍵をなくして同じアパートの住人の部屋に転がり込む。主人公の「僕」と一緒にホリーに出会った瞬間、読者は彼女に魅了されるだろう。

その身体はいかにも上品に細かったものの、朝食用のシリアルを思わせるような健康な雰囲気があり、石鹸やレモンの清潔さがあった。

飼い猫にも名前をつけず、しばられることを嫌い、ティファニーで朝ごはんを食べるような身分になっても自分のままでいたいというホリー。その存在感が「もうこれしかない!」と思わされる比喩や生き生きとしたセリフで立ち上がる。

「花盛りの家」の恋に落ちたかどうか知るために蜂を握る娘、「ダイヤモンドのギター」の冬の夕暮れに似たブルーの目を持つ青年、「クリスマスの思い出」のフルーツケーキを焼くのが得意な“僕の親友”。他の収録作の登場人物も忘れがたい。

村上春樹と親交が深く『ティファニーで朝食を』のあとがきにも名前が登場する人気翻訳家は? 答えは次ページに。

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