ケンシロウのルーツを遡る!『蒼天の拳』
<DATA>タイトル:『蒼天の拳 (1)』出版社:新潮社著者:原哲夫監修:武論尊価格:530円(税込) |
その世界観を受け継いだ作品が『蒼天の拳』で、舞台は1930年代の上海。ただ強い敵と闘うだけではなく、当時の複雑な国際情勢がからんでいる点、北斗神拳やキャラクターのルーツが徐々に明らかになる点も読みどころだ。
コメディ要素も増えて楽しい!
主人公は、ケンシロウの師父リュウケンの兄にあたる、霞拳志郎(かすみけんしろう)。ケンシロウは純粋で優しいがカタブツというイメージがある。拳志郎は全然違うところが面白い。例えば、長時間の立ち読みを注意されても悪びれなかったり(実は本の内容を一度読むだけで丸ごと記憶できる)、闘いの最中にタバコをスパスパふかしたり。もちろん、「朋友」のために命をかける情にあつい漢(おとこ)なのだが、ふだんは自由奔放で飄々としている。奥行きのあるヒーローだ。
悪役もユニーク。自分の体にコンプレックスを持っていたり、賭博狂や色情狂がいたり、どこか滑稽で人間臭いのだ。特に鋼鉄のヅラを愛用する田親分、人間離れした巨漢ながら小心な章元帥などは憎めない。
かっこいいだけではなくて、笑える。大人の余裕と遊び心を感じさせる作品で、今後の展開が楽しみだ。
やはり上位にランクインした傑作が読者の成長に合わせて進化! その作品とは?