2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(2ページ目)

2月　和の伝統色に惹かれる

＜DATA＞タイトル：『つくもがみ貸します』出版社：角川書店著者：畠中恵価格：1,470円（税込）

デビュー前に『火車』で小説の構成を学んだという畠中恵（※インタビュー参照）。『しゃばけ』シリーズが大ヒットして、今やポスト宮部みゆきともいえる人気作家になった。

『つくもがみ貸します』の清次とお紅の姉弟は、深川で幅広い層の客を相手に古道具屋兼損料屋（レンタル業）「出雲屋」を営む。実は血のつながりはなく、弟は姉に想いを抱いているが、姉は何年も前に失踪した男を探している。そんな2人の周囲で起こる騒動を、生まれて百年を経てつくもがみという妖怪に化した古道具を通して描く。

「利休鼠」「裏葉柳」「似せ紫」など、各編のタイトルは和の伝統色にちなんだ名前になっている。扉にはその色の紙が使ってあるという凝った装幀。恋愛小説としての魅力に加え、日本の色彩文化の豊かさも感じられるというおトクな1冊だ。

＜DATA＞
タイトル：『つくもがみ貸します』
出版社：角川書店
著者：畠中恵
価格：1,470円（税込）

畠中恵と同じく「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞してデビュー。タヌキが主人公の家族小説を書いた作家は？　答えは次のページに。