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2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(12ページ目)

現代のベストセラー作家の作品から、不朽の名作まで。小説で季節感を味わい、1年たって気がついたら品格も育っている(といいなー)という欲ばりな読書計画です!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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12月 国境の長いトンネルを抜けると

画像(C)新潮社
<DATA>タイトル:『雪国』出版社:新潮社著者:川端康成価格:380円(税込)
日本初のノーベル賞作家で、創作だけではなく文芸批評も手がけ、三島など無名の新人を発掘することにも熱心だった川端康成。代表作はなんといっても

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

という冒頭で知られる『雪国』だろう。越後の温泉町を舞台に、親譲りの財産で無為徒食の暮らしをおくる島村と芸者・駒子の不倫の恋を描く。駒子と再会したときの島村の言動、

「こいつが一番よく君を覚えていたよ。」と、人差し指だけ伸した左手の握り拳を、いきなり女の目の前に突きつけた。

というくだりがエロティックだ。駒子の鉱物のように黒い髪、雪のように白い肌、蛭のように赤い唇。色のコントラストが鮮烈なイメージを残す。

<DATA>
タイトル:『雪国』
出版社:新潮社
著者:川端康成
価格:380円(税込)



本を読むのは楽しい。読んだ本同士がつながるともっと楽しい。2008年も楽しく読書しましょう!

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