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映画化『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

姉VS妹の壮絶なバトルを描いた本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』をはじめとして、この夏、話題の映画化原作本をご紹介します。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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姉VS妹の壮絶なバトルを描いた本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』をはじめとして、この夏、話題の映画化原作本をご紹介します。

壊れた家族を描きながら清々しい感動が残る本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
「私は特別」と思い込んでいるエキセントリックな姉と不幸な人間を観察せずにいられない妹の壮絶なバトル!
舞台は、ケータイも圏外になるほどの田舎町。女優になるため上京していた澄伽(すみか)が、両親の事故死をきっかけに帰郷するところから物語は幕を開ける。高校生の妹・清深(きよみ)と彼女の間には、ある確執があった。

幼い頃から「自分は特別」という強い確信を抱いている澄伽。容姿は美しいが他人とまともな関係を築くことができず、所属する小劇団からも退団するように言い渡されてしまう。

一方、妹の清深は、他人の不幸を観察することに悦びを見出す歪んだ性格。彼女が中学生のときにやったあることに対して、澄伽は執拗な復讐を始める。あるときは地肌にギリギリと爪をたて、あるときは入浴中に熱湯を飲ませ……きょうだいゲンカにしてはあまりにも陰惨で怖い。

また、姉妹には宍道(しんじ)という兄がいる。彼と妻の待子の関係もヘンだ。待子は夫の言うことは何でも聞くのだが、ある日「待子、お前ちょっと新婚旅行に行って来い!」と命令される。新婚旅行なのに、ひとりで行って来いと。その後の展開はありえない、でも笑える。

笑えるといえば、あまりにもイタい澄伽の言動にも爆笑必至。193ページの清深のセリフに深く共感してしまう。壊れた家族を描きながら読後には清々しい感動が残る。不思議な小説だ。

<DATA>
タイトル:『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
出版社:講談社
著者:本谷有希子
価格:470円(税込)
次ページではこの夏、話題の映画化原作本をご紹介!

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