怖いけれど読むのがやめられない傑作が復刊
おとぎ話の主人公のような無垢な少女の視点で人間の悪意を描く傑作恐怖小説が復刊!<DATA>タイトル:『ずっとお城で暮らしてる』出版社:東京創元社著者:シャーリイ・ジャクスン価格:693円(税込) |
メリキャットの大好きな姉、妖精のお姫さまのようにきれいなコンスタンスが疑われるが、真相は不明のまま。姉妹は村人の恐怖と悪意に囲まれながら、事件の起こった屋敷で暮らしている。メリキャットが心の中で何度もつぶやくみんな死んじゃえばいいのにというフレーズが印象的。不吉な言葉なのに、そのリフレインには、妙に明るい響きがあるのだ。
外界から隔絶された屋敷。豪華な調度。まるで何もなかったかのように、畑で獲れる四季折々の果物や野菜で、ジャムや瓶詰めを作るコンスタンス。月の上で暮らす空想にふけり、宝物を庭に埋めるメリキャット。徹底的に現実感は欠けているが、本人たちにとっては平穏な毎日だ。それが従兄と名乗る青年によってかき乱されて……。
あることがきっかけで村人がヒステリー状態になる第8章も怖いが、最後のメリキャットのセリフはもっと怖い。言葉だけ抜きだせばとてもポジティブで光に満ちているのに。
解説を寄せている作家・桜庭一樹ほか、多くの読者が復刊を待ち望んでいた1冊。毒はあるが魅惑的な世界に連れて行ってくれる。
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タイトル:『ずっとお城で暮らしてる』
出版社:東京創元社
著者:シャーリイ・ジャクスン
価格:693円(税込)
最後にノスタルジックな世界を美しい文章で描いた短編集を紹介!