大人こそ楽しめる国産ファンタジーのヒット作
架空の国を舞台に、女用心棒バルサの活躍を描く痛快ファンタジーシリーズ。<DATA>タイトル:『精霊の守り人』出版社:新潮社著者:上橋菜穂子価格:580円(税込) |
でも国産物にもおもしろいファンタジーはたくさんある。最近のヒット作でいうと『精霊の守り人』。当初は児童文学として出発したシリーズだが、アニメ化&文庫化で大人のファンを一気に増やした。
建国神話で先祖に退治された精霊の卵を体に宿し、父である帝の放った刺客に命を狙われる第二皇子チャグムと、彼を守る女用心棒バルサの冒険を描く。
腕っ節は強く飾り気はなく、相手が妃であろうと媚びない。でも弱い者にはやさしい。そんなかっこいいバルサをはじめとした登場人物はもちろん、文化人類学者でもある著者が構築した緻密な世界観も魅力的。神話の成立過程や、それを権力がどう利用してきたかにもふれてあって、知的好奇心も刺激される。
1冊読んだら続きも読みたくなること間違いなし。長旅ならシリーズ第2作の『闇の守り人』も持って行こう。
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タイトル:『精霊の守り人』
出版社:新潮社
著者:上橋菜穂子
価格:580円(税込)
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