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夏が待ち遠しくなる!痛快ファンタジー小説(2ページ目)

この週末は、不思議でチャーミングな世界にハマる。イギリスの小さな町と沖縄・石垣島を舞台にした痛快ファンタジーを読んで、ひとあし早く夏を堪能しよう!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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パワフルな沖縄のオバァと六本足の豚に夢中池上永一『風車祭(カジマヤー)』

風車祭(カジマヤー)
九十七歳の生年祝い=風車祭を無事に迎えようとする島のオバァ・フジは、周囲の人を混乱の渦に巻き込む。壮大なファンタジー。
国内モノでオススメしたいのは、日本ファンタジーノベル大賞受賞作家・池上永一の『風車祭(カジマヤー)』。カジマヤーとは、沖縄の数え97歳の長寿を祝う祭り。たくさんのカラフルな風車をオープンカーに飾ってパレードをする。カジマヤーを無事に迎えられた人間は、97年間のさまざまな罪がゆるされるという。

そのカジマヤーにひと一倍執着するオバァがいた。仲村渠(なかんだり)フジ。島屈指の長寿者で、カジマヤーを祝うためにたとえ肺炎を起こして入院しようが、腐ったクーブイリチー(昆布の炒め煮)を食べて食中毒になろうが、不埒な暴漢に寝込みを襲われて、八百回目のバージンを奪われようが生き延びようと決心している。体は頑健で、頭脳も明晰、おまけに欲深。その強烈な性格で周りの人間をいつも混乱に陥れてしまう。

一方、島の高校生・武志はフジの家で、永遠の命を持つ美女・ピシャーマに出会う。時を超えた恋の行方、そして神事をおろそかにして危機に瀕する島の運命は――。マブイと呼ばれる魂の存在を中心とした独特な文化を背景に、ユニークなキャラクターが大活躍する壮大な物語。特にフジをはじめとしてオバァたちの言動がいちいち可笑しく、ピシャーマの友達で六本足の豚の妖怪・ギーギーがかわいい。

日々の生活でワジワジー(島の言葉でムカつく)とした気分を沖縄の真っ青な空のように晴らしてくれること請け合いの1冊だ。

■一気読み度   ★★★☆☆
■お笑い度    ★★★★★
■ストレス解消度 ★★★★☆


<DATA>

タイトル:『風車祭(カジマヤー)』
出版社:文藝春秋
著者:池上永一
価格:1,120円(税込)

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