『ダ・ヴィンチ・コード』のダン・ブラウンの驚愕のデビュー作。情報通信の「迷宮」で起こる事件、危機、また危機・・・スピード感、スリルたっぷりの娯楽大作 『パズル・パレス』(上・下) ・ダン・ブラウン(著) ・価格:各1890円(税込) |
■あの超ベストセラー作家が誘う理系な「迷宮」。解読不可能な暗号が諜報機関のスーパーコンピュータを攻撃する!狙いは?
映画公開でまたまた話題を呼んでいる超ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』の著者のデビュー作の邦訳。米国では1998年に刊行された作品だ。『ダ・ヴィンチ・コード』は、宗教学・美学など文系的薀蓄満載で「知の迷宮」に誘う作品だが、本作はタイトルがずばり「迷宮」。そして、この「迷宮」は、かなり理系、「情報通信」の迷宮である。
だが、エライもんですねぇ~、電池の直列と並列の違いがたぶん一生わからず、「誰でもわかる」というプログラミングの本は、予想どおりわからず、パソコンの主要用途が結局いまだに「ノート&ペン」という私ですら、上下巻、文字通り一気に読めてしまいました。ほんと、スリル満載、スピード感たっぷり。エンターテインメント作家としての著者の凄みはもちろんだが、時代ということもあるだろう。そう、「情報通信」というものが一般化したということだろう。
さて、物語の主要舞台は、外国の通信を傍受するために設立された国家安全保障局=NSA。同局・暗号解読課の主任であるスーザンは、上司である副長官から緊急事態を告げられる。地球上の全通信を傍受・暗号を解読できるスーパーコンピュータ「トランスレータ」がありえないはずの解読不能な暗号「デジタルフォレスト」に攻撃されているのだった。仕掛けたのは、元NASA局員の日本人、エンセイ・タンカド。「トレンレータ」の存在を公にするか、「デジタルフォレスト」を公開するか、の選択を迫っていた。一般人のプライバシーを盗み見ることができる「トランスレータ」の存在は発表できない。「デジタルフォレスト」が広まれば、安全保障のための暗号解読は不可能になる。しかも、タンカドは死を遂げており交渉は不可能。そして、彼の死体を引き取り、あるものを入手するためにスペインに飛んだのは、スーザンの恋人で語学の達人の大学教授ディビットだった。二人を襲う危機、また危機・・・。その果てにある真実とは?