■それだけでおなかは一杯にはならないけれど、一皿あれば・・・
あったかくて旨味たっぷり、上等なスープのごとき一品
きっちりきっちりカタをつけなくてはいけないような人との関係性、たとえば、恋人だとか、結婚相手だとか、そういう関係性をメインディッシュだとすれば、きっちりカタをつけなくてもいい関係性は、本当に「スープ」のようなものだと思う。それ一杯で、おなか一杯にはならないし、なくてもいいかもしれないメニュー。だけど、あるとないとでは大違い。おいしいスープが一杯あれば、心も身体もなごんで温かくなる。
本作がスープだとすれば、素材である登場人物のひとりひとりがいい味出してるんですよ、これが。
還暦を前に、少女のごとく恋に燃えるトバちゃんも、そのお相手で、情熱はあるけど、どことなく頼りなさげなお医者さまも、ルイの勤める学校のちょっとゲイの入った教授も、出版社をリストラされてしまった康介がお世話になることになる肉屋さんも・・・
冬の一夜、あったかくて旨味たっぷりのスープのような本作で、ほっこり和んでみては?
この本を買いたい!
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■文筆業で高い評価を得ているアガワ女史。こんなページでそのことがわかります
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