■身体をバサバサバサと斬られていくような感覚。その「斬れ味」を堪能できる短編集
そう、不快でないのである。いや、むしろ、爽快なのである。
この短編集も一作読むごとに、バサッ、バサッ、バサッ・・・バサバサバサバサと斬られる。
斬られる感覚に加えて、ストーリーの濃密さが身体を締め付けてくるような長編作をこよなく愛する(実は、私もその一人なのだが)、本作は、短編ということもあって、読み始めは、少々ものたりない気もするかもしれない。だが、読み進むうちに、短編ならでの「斬れ味」とでもいうものに、心が、いや、身体が反応するだろう。
桐野ファンはもちろん、予定調和の物語に食傷した経験のある方は、ぜひとも。
この本を買いたい!
◆桐野夏生さんは、すでにミステリーというジャンルを凌駕している気もしますが、それでも、やはり、こういう方が出てくるので、このジャンルは見逃せません!情報チェックは「ミステリー・エンタメ作品を読む」で
■『グロテスク』で泉鏡花賞を受賞した著者。彼女をはじめ、なかなか「ひとクセ」ある受賞者が・・・
桐野夏生の公式ページ「BUBBILONIA」では、著者インタビュー、ご本人による作品紹介などが。
本年度の同賞受賞作は、『楽園の島--カルカッタ幻想曲』。未読です。ぜひ、呼んでみたい!著者、寮美千子は、公式ページ「HARMONIA」で、受賞の喜びを語っておられます。
『フルハウス』で平成8年に受賞した柳美里。衝撃作、問題作も多い彼女らしく「オフィシャルサイト」のBBSやFAQは、いろいろと考えさせられます。
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