ヨーロッパを震撼させた幼児監禁・殺害事件の生存者である著者。渾身の思いで語る、事件の真実、その後とは? 『すべて忘れてしまえるように』 ・サビーヌ・ダルデンヌ(著) ・価格:1680円(税込) この本を買いたい! |
■ヨーロッパ中を震撼させた幼児監禁・殺害事件。生存者である著者が、事件の内実とその後を語る
1996年、12歳のサビーヌは、ベルギーの街で中学校に通学途中、見知らぬ男に誘拐された。狭い穴倉での監禁生活、おぞましい性行為。地獄のような80日間の後、サビーヌは、6日前から監禁されていた少女とともに救出される。彼女を待っていたものは・・・。6人の少女を誘拐、監禁、虐待、うち4人を殺害された「デュトゥル-事件」。ヨーロッパ中に波紋を呼んだ事件の内実とその後を、地獄を生き延びたサビーヌ本人が渾身の思いで辿り、その告白をまとめた一作。
幅99センチ奥行き約2メートルの壁に囲まれた不潔な穴倉に監禁したサビーヌに対し、犯人の男は性行為をも強要する。地獄、という言葉でしか表現しえない身体的な加虐。しかも、家族が身代金を払うのを拒否したという男に偽りを告げられ、サビーヌは、精神的にも追い詰められるのだ。
その状況の残虐さもさることながら、現在22歳の彼女にとって、記憶をたどるという行為がどれほど苦しかっただろうかと思うと、胸が詰まる。彼女にその勇気ある(こんな表現ではとても言い尽くせないが)決断をさせた背景には何があったのか。彼女は、一冊の本にまとめ、「終わり」にしたかったと本書で述べる。そう、奇跡的に解放された後も、彼女にとって事件は、終わらなかったのだ。