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IWGP最新作! 『反自殺クラブ』(2ページ目)

人気シリーズ「池袋ウエストゲートパーク」最新作。集団自殺を誘導する謎の男、学生サークルあがりの風俗事務所・・・現代の風俗を鮮やかに切り取った連作集。

執筆者:梅村 千恵



■「群れる」ことで、薄まる「生きることのリアリティー」。一人を受け入れて生きることの意義を謳う

 また、収められた4つの話は、それぞれに独立した話ではあるが、実は、ひとつのメッセージで貫かれているように思える。そのメッセージは、まさに、キャッチコピーどおり、
「群れて死ぬなら、一人で生きろ」である。

 表題作の集団自殺をする人々は言うに及ばず、『スカウトマン・ブルース』に登場する学生サークルあがりの風俗事務所も、“群れること”の不気味さを伝えている。
 群れることは、時として、人の感性の触覚のようなものを撓めてしまう。群れることで、死の恐怖も、モラル観も薄まるのだ。群れれば群れるほど、生きることのリアリティーのようなものが薄まるのだ。

 そう、マコトが、『伝説の星』に登場する中年の元スターが、『死に至る玩具』の中国娘がカッコイイのは、一人で、生きることのリアリティーを引き受けているからだ。

 一人で生きることは、自分の中に閉じこもることではけっしてない。彼らのように、外界と敢然として対峙し、そこで自己を表現しようとすることだ。そして、自分と同じようにそうしている他人を認め、その前提において、つながることだ。

 ラストシーンで、マコトは、やっぱり、池袋のウエストゲートパークにいる。一人で。外界に向かって開きながら。
 やっぱり、うーむ、カッコイイ。一緒に、ウエストゲートパークに座りたい・・・(どんどんオリコウになっていって、チンピラ度がますます低くなっていくのは少々残念ですが)

 サービス精神旺盛な著者のこと、シリーズを読んだことのない人にもちゃんと楽しめるよう、作られています。ぜひ、あなたも、ウエストゲートパークへ。

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