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IWGP最新作! 『反自殺クラブ』

人気シリーズ「池袋ウエストゲートパーク」最新作。集団自殺を誘導する謎の男、学生サークルあがりの風俗事務所・・・現代の風俗を鮮やかに切り取った連作集。

執筆者:梅村 千恵


人気シリーズ最新作。池袋のトラブルシューター・マコっちゃんの胸のすくような活躍をどうぞ

『反自殺クラブ』
・石田衣良(著)
・価格:1600円(税込)

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■あの学生サークルのあの事件、自殺サイト・・・現在を鮮やかに切り取る手腕が際立つ人気シリーズ第5弾

 テレビドラマでもおなじみ、池袋のトラブルシューターこと果物屋の真島マコトを主人公にした人気シリーズの最新刊。

 帯のコピーは、「群れて死ぬなら、一人で生きろ」。おそらく、著者ご本人の作だろう。さすが、元本職。うまい。
 コピーの出自となった表題作には、マコトが続発する集団自殺を呼びかける謎の男に集団自殺で親を亡くした三人とともに立ち向かう話。
 そのほか、学生サークルあがりの風俗スカウト事務所の悪辣な罠にかかった少女を救い、その悪行を暴いたり(『スカウトマン・ブルース』)、ロックミュージアムを池袋の街に作りたいという中年の元スターが巻き込まれている不動産トラブルに絡んだり(『伝説の星』)超人気の人形を販売している玩具会社の中国工場で過労死した姉の死の実態を知らせるため日本にやってきた小娘を助けたり(『死に至る玩具』)・・・と、マコッちゃん、相変わらず、大車輪で大活躍である。

 IWGPファンにはおなじみの、Gボーイズの王様・タケシ、元いじめっられ今は売り出し中のヤクザのサルなどの面々も適度に絡み、物語は小気味のいいテンポで盛り上がり、切なさややりきれなさの余韻をかすかに滲ませながらもあくまで前向きに収束する。読後感の良さが、この作品の、いや、この著者の最大の魅力だろう。

 以前、著者は、「IWGPは、最新の風俗を取り入れるには最適の器」というようなことを話しておられたが、この新作では、その「器」ぶりがいっそう際立つ。そう、あの学生サークルが起したあの事件、自殺サイトを媒介に続発する集団自殺など、現在のニュースがモティーフとなった作品が収められ、同時代性の高い上質な風俗小説に仕上がっている。
『反自殺クラブ』
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