『海辺のカフカ』以来、久しぶりに長編小説!ああ、この人が書き続けてくださることだけで・・・ |
『アフターダーク』
・村上春樹(著)
・価格:1470円(税込)
この本を買いたい!
■村上春樹、25周年記念作品。深夜から夜明けまで、深く静かに、物語が潜行する
村上春樹の「25周年記念作品」と銘打たれた作品。最新作が発売された「ハリポタ」と並び、久々に出版界発の社会ニュース(でもないか)となった。いや、個人的なことを言うなら、そういうことはどうでもいいんです。もっと言えば、作品の内容だってどうでもいいんです。だって、村上春樹の、春樹の、新作なんだもの。ああ、私は、ハルキスト。
というわけで、書評めいたことを記すなんて、大それたこと、とても、できそうにもないのだが、紹介しない、ということもやっぱりできず・・・。春樹の新作は、いったい、どんな設定なんだ?という疑問に、ある程度、ほんとうに、ある程度、お答えできればいいかな、と、思っています。
(言い訳ばかりで、すんません。これも、好きゆえ、と、愛ゆえと、ご理解いただければ)
とりあえず、ストーリーのさわりをご紹介をば。
時計は、深夜12時直前、ある存在の視線が、深夜のファミレスで本を読む一人の女性の姿をとらえる。フード付きのパーカーにジーンズ、年齢は、大学の新入生というあたり。ほっそりとした小さな顔に黒ぶちの眼鏡をかけてくる。熱心に本を読んでいる彼女のもとに、一人の男性がやってくる。右の頬の上に傷がある、痩せた男。管楽器らしきものを持っている。
彼が、彼女にこう声をかける
「ねえ、間違ってたらごめん。君は、浅井エリの妹じゃない?」
同じ時刻、ある存在の視線が、エリの姉・マリの部屋を捉える。マリは、眠っている。
月の裏側のように死んでいるはずのテレビ。そのカメラが、何らかの兆候を感じとって、動き出す。やがて、テレビの画面には、どこかの部屋の映像が映し出される。部屋の中央には、椅子があり、ひとりの男が映っている。
起ころうとしている異変の確かな気配。だが、マリは、何も気づかず眠っている。
夜は、少しずつ、だが、確かに、その深さを増していく。バンドの練習に参加するという高橋と別れ、ファミレスで本を読み続けるマリの許には、一人の女がやってくる。マリが中国語ができるということを高橋から聞いたという彼女は、自身がマネージャーを勤めているラブホテルでの、中国人の女性をめぐるトラブルがあったと告げる。通訳を引き受け、ラブホテルへと赴いたマリは、若く美しい中国人女性が受けた理不尽な暴力の爪あとを目にする。
一方、ひたすらに眠るエリの身の上には・・・