『葉桜の季節に君を想うということ』
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■自称「何でもやってやろう屋」。二枚目半のチャーミングな主人公が大活躍!
『長い家の殺人』でデビュー以来、15周年を迎える著者。デビュー作及び『白い家の殺人』『動く家の殺人』など正統派の本格ものからスタート、『死体を買う男』『ROOMY』『ブードゥ・チャイルド』、『世界の終わり、あるいは始まり』と巧緻な構成で物語性の高い作品を発表し、玄人好みの作家として独自な地位を築いてきた。
だが、最新作は、そのイメージを裏切るかのような、2枚目半のチャーミング主人公が活躍する、一見、エンターテインメント要素の強い作品だ。
主人公は、フリーター、自称「何でもやってやろう屋」の成瀬将虎。スポーツクラブで知り合った高校の後輩キヨシから、彼が岡惚れしている社長令嬢・久高愛子の相談に乗ってほしいと頼まれる。彼女の祖父がひき逃げされ、その事件の真相を突き止めたいという愛子。祖父は、生前、怪しげなマルチ商法「蓬莱倶楽部」に入れ揚げていたと言う。
同時期、将虎は、駅のホームで飛び込み自殺をしようとしていた女性・麻宮さくらを助ける。次第に彼女に魅かれていく将虎だが、彼女には、幾層にも重なり合う深刻な秘密を抱えていそうだ。
もちろん、将虎にも、あまり他人に自慢できないような過去がある。高校を卒業して探偵事務所に入った将虎は、事務所と関わりのあるヤクザの組員殺人事件の内偵のために、対立する組に「三下」として内偵に入ったのだ。そこで遭遇した事件、出会った女のことを折に触れ、思い出す将虎。一方、蓬莱倶楽部の事件に深入りした将虎は、何度も命の危険に晒される。そして、敵陣深く入り込んだ彼は、そこで、意外な人の名を目にする・・・。