書籍・雑誌/話題の本関連情報

通勤快読!おすすめモバイル本<第1回> 『スポーツイベントの(2ページ目)

いやあ、サッカーW杯、盛り上がりましたね。「何をいまさら」と思われるのも道理ですが、この盛り上がりを街の明日につなげる方策を、通勤電車の中でちょっと考えてみませんか?

執筆者:梅村 千恵

■有形・無形の「遺産」活用のために必要な複眼的な視点

スポーツに限らず、「イベントの遺産」と聞いて、まっさきに浮かぶのは、新設された巨大スタジアム、野山を切り開いて作られた会場、パビリオン・・・そう、いわゆる、「ハコもの」であろう。ちなみにW杯のために整備された各地のスタジアムは、大規模災害の際の避難所として使われる予定らしいが、「ハコもの」は、短時間のうちに維持費ばかりを喰う無用の長物と成り果てる危険性も否定できない。そうならないためにはどうすればいいのか。

本書は、まず、「ハコもの」に代表される有形の遺産だけではなく、イベントで醸成されたスポーツへの関心や地域の連帯感など、無形の遺産にも注目すべきだとする。そして、それらを都市運営に活かしていくためには、複眼的な視点が必要であると説く。複眼的な視点として著者が挙げているのは、「プロ・スポーツ産業の育成」であり、「するスポーツへの関心の醸成」などだ。それらを含め広義の意味での「スポーツ」を活性化の触媒としようとした日本及び世界の都市の取組み(その失敗も含めて)の例も多数挙げられている。

本書で指摘されているとおり、重厚長大産業によって発展してきたわが国の近代都市も、産業構造の変化と住民の高齢化によって活力を失い、長期的な衰退サイクルにはまり込んでいる。ここから脱出する方法論を模索する際、メガ・スポーツイベントを瞬間的な「起爆剤」とのみ捉えるなら、それは、かなりの確率で「焼け石に水」かもしれない。しかし、それを、有形・無形の遺産の「母胎」だと捉えるなら、どうだろう?

「W杯の経済効果は・・・」というニュースの裏側では、同イベントに関与した各都市の思惑が今も様々に入り組んでいるに違いない。本書を読んでつくづく願う。その思惑が「戦略」に繋がっていくものであることを。

★あえて、アラ、捜します!
で、具体的にどうすればいいの?となると、「ウォーキング・シティーの提案」など、正直、新味に欠けるように思える。もうちょっと、魅力的な案がないものか?

この本を買いたい!

●ビジネス関連の本をチェックしたい人は、「ビジネス書の情報ページ」へ。
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで小説をチェック!楽天市場で書籍をチェック!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます