オーディオのイコライザとは?
そもそもオーディオにおけるEQとは、音を、高低によっていくつかのグループに分け、それぞれの音量を独立して調整する機能です。低音をもっと強調したいとか、ヴォーカルを明瞭にしたい……などという際に、このEQ機能が活躍します。iTunesのイコライザ
iTunesのイコライザは、10のグループ(バンド)が用意されています。左に行くほど低音で、左端の「32」は音の周波数32Hzを意味し、スライドバーを持ち上げると、32Hz付近の音量を増加させて強調できます。ちなみに、この周波数に相当する楽器としてはバスドラムがあり、スライドバーの上下で、バスドラムの音量を調整することが出来ます。その他、ヴォーカルはおおよそ250Hz~1kHz(1000Hz)、シンバルは4kHz以上に相当します。
プリセットで手軽に調整
iTunesのイコライザーには、20を超えるプリセットが用意されています。こられのプリセットは、音のプロフェッショナルが、各ジャンルをより楽しめるように調整したイコライザのセッティングを記憶させたものです。プリセットを利用すれば、ユーザーは、モードを切り替えるだけで、おおよそベストな調整を得ることができます。ベストな設定とは限りませんが、イコライザーの操作が面倒なユーザーや、使いこなしに自信のないユーザーは、このプリセットを利用すると無難です。
プリセットの中身と音の傾向
では、iTunesのプリセットが実際にどのようなセッティングをしていて、どのような音の傾向があるのか、特徴的なセッティングを例に、筆者鴻池が分析してみました。■Flat
まずFlatは、調整を加えない、イコライザ「オフ」と同じ状態です。再生機器が正常な状態であれば、製作者の意図したオリジナルに近いサウンドが楽しめます。
Jazzは、低域と高域を少し持ち上げ、中高域を少し抑えています。Jazzで象徴的な楽器(ベースやシンバル)およびボーカル(250Hz付近)を心持ち強調する意図が見られ、実際に試聴してみると、全体の重厚感が増し、楽器の持つ音色や艶が感じられます。
■Pop
Popは、中域を持ち上げ、低域と高域を少し抑えたセッティングです。音楽で中域は最も重要な帯域で、持ち上げると音の密度感が増し、暖かみや艶やかさが増すほか、全体のバランスもまとまります。Pop音楽は録音時の状態が完璧と言えないケースも多いので、この欠点を隠し、楽しく聴かせるのが狙いがあるのでしょう。
■Vocal Booster
Vocal Boosterは、極端に中域を持ち上げたセッティングです。実際に試聴すると、ヴォーカルが強調される反面、楽器や音楽全体のテイストが不自然になる印象があります。音楽の中のヴォーカルを強調すると言うよりは、音楽に埋もれて聴き取り難いセリフや話し声を強調したい時に利用すべきものでしょう。
■Dance
Danceは、中低域と中高域に山があり、イコライザのスライドバー自体が飛び跳ねてダンスしているかのように、見た目もユーモラスで特徴的なセッティングになっています。一般的に、40~80Hz付近の音を強調すると音に重さが出てくると言われています。また2kHz~5kHzあたりの音は耳に付きやすく、強調するとシャープさが増します。ヴォーカルの無い、楽器を中心としたダンスミュージックで、リズム感や刺激感を増す狙いがあるのでしょう。
手動イコライジング
iTunesのイコライザには、プリセットのほか、ユーザーが任意に調整し、セッティングが決まったら名前をつけて保存できる機能があります。各人の好みが自由に反映できる一方、素人調整は、製作者の意図したイメージを大きく損ねてしまう可能性もあります。自信がない場合は、プロの設定したプリセットと利用するのが無難です。一方、手持ちの機器や再生装置にクセがある場合、イコライザで補正するのも一案です。例えば、低域の再生が苦手なインナーイヤー型で、いつも音が歪んだりモコモコして聞こえる場合は、最も低域の調整を担う32Hzのスライドバーで適度に抑えてみましょう。歪みやモコモコの解消はもちろん、ドライバーが無理な動きから開放されるので、中域の音質も改善され、全体の音質が向上する可能性も大です。
iPodでは?
iPod本体では、表示の都合もありますが、概ね、プリセット名と音質セッティングの関係は、上記のiTunesの場合と同じです。プリセットを活用して、より音楽を楽しんだり、いつもとは違った雰囲気で聴いてみるのも新鮮で良いでしょう。当「オーディオプレーヤー」サイトでは、今後も、プレーヤー周辺の基礎知識や使いこなし術などを紹介してゆきますので、お楽しみに!
【関連サイト】
アップル iTunes