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Mac OS X Snow Leopard Server搭載Mac mini

Mac史上、最もコンパクトで低価格のMac miniにサーバーOS搭載モデルが追加されました。基本的には、スモールオフィス向けの本格サーバーですが、低価格であるため個人(家庭)でホームサーバーとしてもおすすめです

木下 幹司

執筆者:木下 幹司

Macガイド

ホームサーバーとしてもおすすめ
Mac OS X Snow Leopard Server搭載Mac mini

Mac史上、最もコンパクトで低価格のMac miniにSnow Leopard Server搭載モデルが追加されました。

Snow Leopard Serverは大規模なネットワークからスモールオフィスまで幅広く使えるサーバーですが、低価格であるため個人(家庭)でホームサーバーとしてもおすすめです。
通常のMac miniと本体サイズは全く同じ。光学ドライブのスリットがないだけです(クリックで拡大)

通常のMac miniと本体サイズは全く同じ。光学ドライブのスリットがないだけです(クリックで拡大)

※以降、本文中の表記は「Mac mini サーバー」とします
 

なぜSnow Leopard Serverなのか?

理由1:サーバー上で複数のユーザー情報を集中管理
Snow Leopard Serverを使うと、複数のMacがそれぞれが同時にネットワークに接続されている場合、アカウント設定等それぞれで共通の情報を、一カ所で集中管理できます。
Snow Leopard Serverはこういった集中管理する仕組みであるOpenDirectoryやActiveDirectoryにも対応し、共通のユーザーでそれぞれのMacにログインすることが可能になります(クリックで拡大)

システム設定 - アカウント のログインオプションにあるネットアカウントサーバの設定からSnow Leopard Serverに接続します(クリックで拡大)


Snow Leopard Serverはこういった集中管理する仕組みであるOpenDirectoryやActiveDirectoryにも対応し、Mac OS X v10.6 Snow Leopardではシステム設定 - アカウント のログインオプションから接続できます。

理由2:MobileMe不要の共有カレンダーやiChat
Snow Leopard Serverには、MobileMeと同等の機能が搭載されています。メール、カレンダー、iChatはもちろん、アドレスブックも共有可能。もちろんMac OS Xとも相性バツグンです。

理由3:MacやWindowsのファイルサーバーとしても使用できる
Snow Leopard Serverには、Mac OS XやWindowsに対して、ネットワークフォルダを提供することだって可能。TimeMachineのバックアップにも使えますが、今回紹介するMac miniでは500GBx2というハードディスク容量を持っています。

このようにMac miniサーバーは、Mac OS X SnowLeopardだけでは楽しめないMacを便利にする機能が満載ですが、逆にMac miniサーバーだけを購入してもあまり意味が無いので、注意してください。

※以降は、Mac mini サーバーとそれ以外に1つ以上のMacがあることを想定して解説しています。


まずはSnow Leopard Serverをセットアップ

Mac mini サーバーを初めて起動すると、Xの文字が現れる無音の動画が流れ、以下の画面になります。「続ける」をクリックしてセットアップ開始です。以降、画面ごとに解説していきます。
Mac mini サーバを最初に起動し、Xが回転する無音の動画が一瞬表示されたらこの画面になります(クリックで拡大)

Mac mini サーバを最初に起動し、Xが回転する無音の動画が一瞬表示されたらこの画面になります(クリックで拡大)

  • 「キーボード」の画面では日本語キーボードなら「ことえり」を選びます。
  • 「シリアル番号」の画面では、シリアルと登録名、登録組織名を入力します。シリアル番号は「XSVR-106」から始まる文字列で、マニュアル等と同梱されているステッカーに書かれています
  • 「既存のサーバーを転送しますか?」は何も無ければ“新しいサーバーを設定”(初期値)を選択して「続ける」をクリック
  • 「ユーザ登録」では所有者の個人情報を入力します。入力したくない場合は「続ける」をクリックすればそのまま次に進みます。
  • 「ユーザ登録の情報」でも特になにもせず「続ける」をクリックしてもかまいません
  • 「時間帯」ではデフォルトで“東京都 - 日本”が選ばれています。日本の都道府県すべての都市名で設定可能ですので、東京や大阪以外にお住まいの方でも安心。
  • 「管理者アカウント」は必須入力項目です。多くは“Server Admin”とか“Administrator”と入力することが多いようですが、好きな名前でかまいません。ただし「root」とか「diradmin」はMac OS X Serverで使われている名前なので、やめておいたほうがよいでしょう。
  • ここでは「admin」というユーザーにしてみました(クリックで拡大)

    ここでは「admin」というユーザーにしてみました(クリックで拡大)


  • 「ネットワーク」画面の設定の前に、家庭内/企業内LANにEthernetケーブルで接続しておきます。ここで実際に運用する状態にしてください。固定IPとかの情報がある場合をのぞき、左側のEthernetのアイコンが緑になっているのを確認して「続ける」をクリックしてください。
  • ※AirMacでサーバー運用するのはお勧めしません。Ethernetで構成しましょう!(クリックで拡大)

    ※AirMacでサーバー運用するのはお勧めしません。Ethernetで構成しましょう!(クリックで拡大)


  • 「ネットワーク名」ではプライマリ DNS 名とコンピュータ名を設定します。重複がなければなにを設定してもよいですが、今後頻繁に扱う名前になるので、メモしておくなどして覚えておきましょう。

    ここで「入力したプライマリ DNS 名が正しくありません」とエラーが出たら「編集…」をクリックして画面上の例にならった形式に書き換えます。例えば「test.server.com」というような形にする必要があります。名前に「.(ピリオド)」を1つ以上入れてください。この記事ではプライマリ DNS 名を「kinoshitaosxserver.com」、コンピュータ名を「kinoshitaosxserver」としました。
  • プライマリ DNS名とはコンピューターネットワーク全体に対する名前という意味です(クリックで拡大)

    プライマリ DNS名とはコンピューターネットワーク全体に対する名前という意味です(クリックで拡大)


  • 「ユーザとグループ」では、一番上の「ユーザとグループを作成」を選択し「続ける」をクリックします。
  • 「サービス」では、とりあえず初期値(すべてオン)にして「続ける」をクリック
  • 「クライアントのバックアップ作成」では、内蔵ハードディスクの2つめを選択します。これは後で変更が可能です。
  • 「メールオプション」では送信メールのリレー設定ができます。よくわからない場合は、何もせず「続ける」をクリックしてください。これも後から変更可能です。
  • 「確認」の画面がでたら「設定」をクリックしてほぼ終了。あとはいろんな設定が自動で行われます。
  • どのようなサービスを構成したか確認できます(クリックで拡大)

    どのようなサービスを構成したか確認できます(クリックで拡大)


以上でMac OS X Serverを使う準備ができました。ログイン後にデスクトップに作成されている「Mac OS X Server 次のステップ.pdf」を最初に開いて、よく読んでください。

上記セットアップ直後にMac mini サーバー以外のMacがインターネットに接続できなくなった場合は、一度Mac mini サーバーを再起動します。

それでもインターネットがうまくつながらない場合、以下の作業を行ってください。


DNSをMac mini サーバー側で処理する

Mac OS X Serverを設置することで、インターネットに接続できなくなるのは、DNSという仕組みによりhttp://~という文字列からIPアドレスに変換ができなくなるためです。

この問題を解決するには、Mac miniサーバーに搭載されているDNSで名前解決できるように設定しなければなりません。

【操作手順】
  1. インターネットに接続可能なMac mini サーバー以外のMacのシステム環境設定 - ネットワークで「詳細…」をクリックして、TCP/IPの画面を開き、インターネットに接続可能なほうの「DNS サーバー:」設定を確認します。ここにうっすらと記載されているIPアドレスをメモします。
  2. 次にMac mini サーバーの「サーバー管理」を起動し、「DNS」の画面を開いて「フォワーダーIPアドレス」に1.で調べたIPアドレスを記入し「保存」ボタンをクリックします。
1.で表示されているIPアドレスを2.に設定します。(クリックで拡大)

1.で表示されているIPアドレスを2.に設定します。(クリックで拡大)



「DHCPサーバ機能設定(LAN側固定IP払い出し)」をいつものルーターに設定

Mac miniサーバーのIPアドレスは常に同一の値になるようにしておくと、メンテナンスがやりやすくなります。家庭内LANでIPアドレスを固定するには、ルーター側の設定を変更する必要があります。

以下では、フレッツ西日本から提供されるルーター設定ツールで解説します。用語や操作方法はルーターの機種によって異なりますので、マニュアルなどを参照して、似た設定を見つけて操作してください。

1. ルーター設定画面(CTU設定)をブラウザから呼び出し「DHCPサーバ機能設定(LAN側固定IP払い出し)」画面を表示します。
フレッツ光などで提供されるルーターの設定画面(クリックで拡大)

フレッツ光などで提供されるルーターの設定画面(クリックで拡大)


2. Mac miniのシステム環境設定 - ネットワークを開き、まず最初の画面でIP アドレス:をメモします。次に「詳細…」で「Ethernet」を開きます。ここに書かれているEthernet ID:を大文字、小文字まで正しくメモします。
システム環境設定 - ネットワーク で Ethernet の画面にある「詳細…」ボタンから呼び出します(クリックで拡大)

システム環境設定 - ネットワーク で Ethernet の画面にある「詳細…」ボタンから呼び出します(クリックで拡大)


3. 次に、ルーター設定画面にある「DHCPサーバ機能設定(LAN側固定IP払い出し)」画面を開き「追加」ボタンをクリックして「払い出しIPアドレス」は先ほどのIPアドレス。「MACアドレス」にはEthernet IDを入力します。
追加ボタンを押して出てくる画面で入力してください

追加ボタンを押して出てくる画面で入力してください


4. ルーター設定画面では、他にも「ドメイン問い合わせ先設定」を設定しておきましょう。ドメイン名文字列には、セットアップ時の「ネットワーク名」でプライマリ DNS 名とした名前を、プライマリDNSサーバ/セカンダリDNSサーバにはMac miniのIPアドレスを設定します。
ここの設定がルーター上のDNS設定となります。パソコンやURLの名前を内部的にIPアドレスに変換してくれる大事な設定なので注意して作業してください(クリックで拡大)

ここの設定がルーター上のDNS設定となります。パソコンやURLの名前を内部的にIPアドレスに変換してくれる大事な設定なので注意して作業してください(クリックで拡大)


5. すべての設定が終わったら、CTU設定画面のTOPにある「設定反映」ボタンをクリックして終了します。
設定反映を押さずにブラウザを閉じたりしないように注意しましょう(クリックで拡大)

設定反映を押さずにブラウザを閉じたりしないように注意しましょう(クリックで拡大)


6. 以上まで終わったら、Mac mini以外のMacでブラウザを起動して、http://’Mac miniのサーバー名‘(例:http://kinoshitaosxserver.com/)にアクセスしてみましょう!以下の画面が出てきたら成功です。
まずはWikiサーバーやブログを使ってみましょう。外には公開されませんので秘密の日記などを作成するのにおすすめです(クリックで拡大)

まずはWikiサーバーやブログを使ってみましょう。外には公開されませんので秘密の日記などを作成するのにおすすめです(クリックで拡大)



アカウントを追加して、サーバーOSならではの使い方を楽しもう!

Snow Leopard Serverのサービスを利用するには、サーバー上にアカウントを設定しなければなりません。「サーバー環境設定」の「ユーザ」を開き、任意のユーザーを登録していきましょう。
ユーザーのログイン情報やパスワード、住所電話番号など、すべてをここで登録します(クリックで拡大)

ユーザーのログイン情報やパスワード、住所電話番号など、すべてをここで登録します(クリックで拡大)


以上が設定できたら、Mac mini サーバー以外のMacでSafariを起動し、http://’Mac miniのサーバー名‘(例:http://kinoshitaosxserver.com/)にアクセスして「My Page」をクリックしてみてください。ダイアログが出てくるので、登録したユーザ名とパスワードを入力します。(例として登録ユーザ名は「kanji」ドメイン名は「kinoshitaosxserver.com」とします)


Snow Leopard ServerオリジナルのWikiやブログ、カレンダーをブラウザから利用

Snow Leopard Serverに標準で内蔵されている、WikiサーバーやBlogが便利なのは、インストールした直後から共有カレンダー、RSSフィードに対応していたり、コンテンツの閲覧制限を設定できるところです。
Wikiのトップ画面。操作性はBlogも全く同じです(クリックで拡大)

Wikiのトップ画面。操作性はBlogも全く同じです(クリックで拡大)


社内での連絡事項にはブログによる最新情報を使えばRSSリーダーにより購読できるし、ユーザ権限によって見えるページ、見えないページを設定すれば、プロジェクトチームごとに企業秘密等を扱ったページなども解説できます。

家庭なら、個人個人の秘密の日記などを書きためていくのもよいでしょう(もちろん、管理者である人が覗かないことが前提ですが)。
Wikiやブログごとに閲覧制限、コメント制限を設定できます。とても使いやすいです(クリックで拡大)

Wikiやブログごとに閲覧制限、コメント制限を設定できます。とても使いやすいです(クリックで拡大)


カレンダーサーバーにiCalで接続

Mac OS X ServerはCalDAVという規格に対応しています。デフォルトで有効になっているので、iCalを起動し、環境設定の「アカウント」を開いたら「+」をクリック。ダイアログでアカウントの種類を「CalDAV」ユーザ名:パスワード:を先ほど先ほど作成したユーザ「例:kanji」で入力。サーバアドレス:に最初のセットアップで「ネットワーク名」ではMac miniの名前を入力します(例ではkinoshitaosxserver)
アカウント画面で「+」をクリックして追加。iCal上で追加したイベントを自動的にサーバー上に反映されます(クリックで拡大)

アカウント画面で「+」をクリックして追加。iCal上で追加したイベントを自動的にサーバー上に反映されます(クリックで拡大)



iChatサービスで外部サーバーを使わないiChat

Mac OS X Server にはiChatのサービスも搭載。オフィスや家庭内だけのチャットなので、気軽に楽しめます。

Mac OS X ServerのiChatサービスに接続するには、iChatを起動し、環境設定の「アカウント」を開いたら、「+」をクリック。ダイアログでアカウントの種類を「Jabber」アカウント名を「ユーザー名@ドメイン名」(例ではkanji@kinoshitaosxserver.com」パスワードを入力して「完了」をクリックします。
ユーザー名@ドメイン名で登録します。LAN環境限定のチャットができますので、セキュリティも安心(クリックで拡大)

ユーザー名@ドメイン名で登録します。LAN環境限定のチャットができますので、セキュリティも安心(クリックで拡大)


Mac miniサーバーを取り扱う上での注意事項

Mac miniサーバーには光学ドライブが内蔵されていませんので、再セットアップ時には別途DVDが再生可能なドライブを購入するか、リモートディスクを利用してインストールしなければなりません。

Snow Leopard Serverの環境がある程度落ち着いたら、アプリケーション/ユーティリティ/のディスクユーティリティを使って、バックアップを取っておきましょう。


まとめ:Mac miniのコンパクトな筐体とMac OS X Serverの組み合わせは最強!

Mac mini のコンパクトな筐体はモニタやキーボードを必要としないなら、どこにでも置けてしまえるし、サーバー用途としては消費電気量や動作音が静かなので、家庭内サーバーとしてもストレス無くつかえます。

Mac OS X Server もサービスの管理やそれらにログインするアカウント設定など、見事に調和しており、複数のサービスを1つのアカウントで利用したり、利用できなくすることが簡単にできます。
サービスに対してグループや管理者を簡単に設定できます。UNIX系のOSを使ったことがあるひとなら、これがどれほどありがたいことかわかるでしょう(クリックで拡大)

サービスに対してグループや管理者を簡単に設定できます。UNIX系のOSを使ったことがあるひとなら、これがどれほどありがたいことかわかるでしょう(クリックで拡大)


こういったサーバーOSは、専門用語が多用されており、多少操作が難しくても仕方が無いとされてきたものですが、Mac OS X Serverなら、基本的なパソコン用語を知っていれば、だれでも使いこなせるでしょう。

 

 

 


【関連リンク】
アップル Snow Leopard Server搭載Mac mini
アップル Snow Leopard Server機能紹介
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