老コメディアンと若きバレリーナの心のラヴストーリー
『ライムライト』
チャップリンの最もロマンティックで含蓄のある一篇『ライムライト』 |
チャップリンが最後にアメリカで撮った本作は、晩年作品では最も光り輝いている珠玉の感動作です。
あるアパートの一室からガスの臭いに気がついた老芸人キャルベロ(チャールズ・チャップリン)が、その部屋のドアを破りベッドに横たわっていた女を運びだします。医師の治療のあと、意識を回復した女(クレア・ブルーム)に、キャルベロは優しく人生を語るのです。
女の名はテリー。失業中のバレリーナですが、急性的に脚が動かなくなり絶望して自殺を図ったとのことです。しばらくしてテリーの体調もよくなってきましたが、立つことは出来ません。キャルベロはテリーを養うために不本意な舞台にも立ちます。
テリーの脚が動かないのが精神的な理由であると知ったキャルベロは、セラピストよろしく彼女のトラウマを取り除く努力を欠かしませんでした。
しばらくして、テリーは立ち上がることが出来、二人は喜びます。それから半年後に、テリーはかつて踊っていた劇場で、新作の主演を演じるチャンスを得ます。人は上昇気流に乗ると多くのことが良い方に流れだすものです。テリーは新作の作曲家と恋におちるのですが、なんとテリーはキャルベロに結婚を申し込みます。が、キャルベロは取り合いません。成功した若いテリーに今は自分の存在は不幸を招くのに違いないと考えたキャルベロは姿を消すのです。
テリーは世界的に成功を収めますが、キャルベロは酒場で道化をし、客のチップで暮らしていました。そこへテリーがやってきます。今でもキャルベロへの気持ちは変わらない彼女がキャルベロのために特別興行を催します。
キャルベロ一世一代の公演は、老ピアニスト(バスター・キートン)との共演です。サイレント時代の3大喜劇王のチャップリンとキートンの夢のコラボレーションが映画のラストを飾り……。そして、大成功の舞台の袖でテリーの踊りを見つめながらキャルベロは人生の幕を閉じるのでした。
【作品情報】
・1952年/アメリカ映画
・上映時間:137min
・監督:チャールズ・チャップリン
・出演:チャールズ・チャップリン、クレア・ブルーム、バスター・キートン、シドニー・チャップリン、ジェラルディン・チャップリン
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