『魔笛(まてき)』ケネス・ブラナー来日会見
英国演劇界では、その名を知らぬ者はいないケネス・ブラナー。本作ではオペラ界のパトロンで財団を運営するピーター・ムーア氏からのご指名で、メガホンを握ったといいます。監督デビュー作の『ヘンリー五世』では、アカデミー賞の主演男優賞や監督賞にノミネートされました。そして『から騒ぎ』『ハムレット』『恋の骨折り損』『お気に召すまま』といったシェイクスピアの古典劇を見事なエンターテインメントに仕上げてきた手腕がかわれたのでしょう。 オペラは一般的に「難解なストーリー、チケットは高額、敷居が高い」と思われがち。オペラの魅力を多くの人に知ってもらいたい、というピーター・ムーア氏の願いもこめられているそうです。「オペラ通でないからこそ、初めてオペラに触れる人へ」というアプローチで映像化できたことに対する自負を持っている姿は印象的でした。 世界で一番公演回数が多いオペラ「魔笛」 舞台設定は、第一次世界大戦前夜のヨーロッパ。兵士のタミーノ(ジョセフ・カイザー)は毒ガスにより戦場で命を失いかけたところを夜の女王(リューボフ・ペトロヴァ)に仕える侍女で従軍看護婦の3人に救われ……というオープニングからはじまる。 「魔笛」が200年以上もの間、人々に支持される理由を「普遍的な関心に光を当てるから」だと解釈。舞台を戦場にしたことにも「人と人とが対立する軋轢(あつれき)、摩擦、抗争があることから」。なるほど! 善悪が逆転する展開に、より生かされる舞台設定です。 |
『魔笛』
[The Magic Flute] 奇跡の音色が世界に愛を咲かす ©The Peter Moores Foundation-2006. |
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