キム・ギドク監督:映画っていうのは、コミュニケーションであって、権力になってはいけないんです。映画が世界を変えるのも、いけないと思います。わたしが望むのは、わたしの映画がある人にとってはお医者さんのような役割をしてくれる映画になってほしい。「生きるのが辛いな」という人にエネルギーを与えてくれる映画であってほしい。世の中に不信感を持っている人には、もう少し理解できる心を持てるようになれれば、と願っております。 ―― ファン層をどのように捉えていますか? キム・ギドク監督:1カ国でたくさんの人が見るのではなく、それぞれの国に、適度な数のマニアがいるのがわたしの映画ですね。幸いな事にわたしの映画を受け入れてくれるマーケットが世界にあります。自分の映画が輸出されたことで、たくさんのお金がはいってくるわけではないんですが、かき集めれば低予算の映画が1本つくれるぐらいになるので、ありがたいです。 ―― 映画づくりで「怖いこと」。 キム・ギドク監督:ですから、わたしが怖いのは、ある日突然、自分の映画を『1千万人の人が見ちゃう! 』っていう現象になるのが怖いんです。韓国でも日本でも。そんなふうになると元々映画作りにもっていた精神を捨ててしまって、必要のない映画をとってしまう人間になってしまうと思います。ですので、わたしの映画は、たくさんの人がいっきに見ることになることは今後もないと思います。 ―― 映画にこめている秘密 キム・ギドク監督:秘密は、わたしの映画の中にあります。わたしは、みなさんと変わりはないです。同じ人間ですから、関心をもって映画を見ていただければわかってもらえると思います。なにか秘密を捜したいな、という人のために映画を創りたいです。「秘密」は、明かされないほど興味深いものですよね。秘密を明かしてみたら、実は、たいしたことないじゃないか、ということがありますけど(笑い)。 ―― スバリ!キム・ギドクとは? キム・ギドク監督:わたしはコンプレックスの塊です。自分にとって、世の中の気にいらないものや、大きな矛盾がたくさんあるので、映画を通してその矛盾を描いていきたいと思っています。時には、階級の差だったり、国と国との戦争だったり。結果的には大きなことから小さなことまで疑問を持っています。いろんな疑問に対して、自分が感じることとの差を水平にしていきたいと思っています。 |
『絶対の愛』[TIME] © 2006 KIM Ki-duk Film. All rights reserved. ※2/24~3/16 レトロスペクティヴ「スーパー・ギドク・マンダラ」ユーロスペースにて開催 |
Interview with KIM Ki-duk on [TIME]
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