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『絶対の愛』キム・ギドク監督インタビュー

ベルリン、ベネチア映画祭を制した韓国の異才キム・ギドクの第13作目『絶対の愛』が3月10日公開になります。来日された監督に直撃インタビュー!新作『ブレス(原題)』についても語ります。

執筆者:南 樹里

『絶対の愛』キム・ギドク監督インタビュー
【キム・ギドク/金基徳】
1960年12月、韓国出身。20歳からの5年間を海兵隊で過ごす。90年に単身パリへ。幼少頃より好きだった絵を売って生計を立てる。一時帰国した際に執筆した「脚本」が認められ脚本作家大賞を受賞。96年『鰐(わに)』で映画監督デビュー。『サマリア』でベルリン映画祭、『うつせみ』でヴェネチア映画祭の最優秀監督賞を受賞している。
韓国の異才キム・ギドクが『絶対の愛』のプロモーションのために来日した。抽象的で包括的なタイトル『タイム(=時間)』(原題)が示す通り、映画の中で見事に「時間」を表現してみせた作品だ。

最高傑作とされた『うつせみ』を超える、絶対的な愛の姿とは、はたして……。

ヒロインのセヒ(パク・チヨン)は、恋人のジウ(ハ・ジョンウ)に時が経てば飽られてしまう、という愛するが故の不安を日に日に募らせるようになっていた。整形手術で顔を変える決心をし、ジウの前から、突然無言で去るのだった。しばらくしてスェヒ(ソン・ヒョナ)という女性が、ジウの前に現れる。それは……。

――まずは、本作の着想を教えてください。

キム・ギドク監督:韓国には整形手術によって、新しい自分を手に入れようとする人がたくさんいます。整形によって自信を得て、新しい人生を始める人たちも確かにいます。しかし私には、人々が整形手術を受けた後に、自分の独自の特徴やアイデンティティについて、混乱しはじめるように思えるのです。私は、このような事象を、愛についてのひとつのイメージとして、描き出したかったのです。

―― 主人公が話さず、周囲の人が話す手法をつかうのは?

キム・ギドク監督:誰もそういった手法を使っていないので(笑い)。その手法をとることによって、主人公のことを、より深く説明できると思うんです。主人公があまりにも饒舌にしゃべりすぎると、時として魅力がなくなったり、神秘性が薄れてしまったりします。他の人に話させることによって、主人公の魅力が際立つ効果がある気がします。例えば、わたしがどこかに行ったとして、そこで「自分って本当にいい人なんですよ」って言うよりも、隣に居る人が「この人は本当にいい人ですよ」と言ってくれた方が効果的ですよね。そして、そうすることで「本心」を言い当てられる気がします。

―― その誰もやっていない手法を使おうと思ったのは、どの時点ですか?

キム・ギドク監督:作品でいうと4本目の『魚と寝る女』あたりから、ちょっと台詞(せりふ)を少なくしてみて、『悪い男』では男性主人公を話せない役にしました。そういう風にして、周りの人に主人公を語らせたところ「あー、これはなかなかいいんじゃないか」と思いはじめました。

―― 今後もその手法で描かれますか?

キム・ギドク監督:これからもそういった手法を絶対にとるんだ!ということを決めているわけでなく、映画のテーマにあわせて、そういう手法がいいなと思えば使うと思います。ちなみに新作の『BREATH(=息)』(原題)は、台詞がある部分とない部分があります。

――整形に対するアンチテーゼの意味はありますか?

キム・ギドク監督:昨年、韓国で整形を題材にした映画が、去年3本つくられました。『絶対の愛』は、整形を描いていますが、それは直接的なテーマではなくて、あくまでも「愛」を描きたかったのです。つまり「顔が変わったら愛は変わるのだろうか?」あるいは「愛というものは永遠のものだろうか」問いかけをしたいので、題材に入れました。ですので、アンチテーゼだとか、整形を擁護するという、どちらでもないです。

『絶対の愛』キム・ギドク監督インタビュー

『絶対の愛』キム・ギドク監督インタビュー『絶対の愛』[TIME]
2007年3月10日[土]よりユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本・編集・製作:キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ、パク・チヨン
2006年/韓国、日本/1時間38分
配給:ハピネット
公式サイト:http://zettai-love.com/

© 2006 KIM Ki-duk Film. All rights reserved.

2/24~3/16 レトロスペクティヴ「スーパー・ギドク・マンダラ」ユーロスペースにて開催

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Interview with KIM Ki-duk on [TIME]

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