【映画で知る世界-第2弾】は、『母たちの村』[Moolaade]をとりあげます。これは、【アフリカ】の映画です。

『母たちの村』(2004)[Moolaade]

原題はMoolaade(モーラーデ※後述)。
(BBC[イギリス国営放送]のジェシカ・ウィリアムズ女史によれば)世界中の紛争地域で戦う子ども兵士は30万人。世界の5人に一人は、一日1ドル未満で生活している、そう。そして『母たちの村』を見るにあたり知ったのは、アフリカ連合54ヶ国中、およそ38ヶ国で女子の割礼(女性性器切除/FGM)が、行われていること。どうも「割礼(かつれい)」と聞くと、宗教的に行う儀式かと、思っておりました、昨日までは。イスラム教、キリスト教の教えではなく、土着の習慣なのだそうです。本作の中では、村長をはじめとする男たちと、割礼を行う女性割礼師が「長年の慣習」であり、「イスラムの教え」であり、割礼の拒否は「アラーを冒涜することに値する」と信じているのです。

※<女子割礼>という言葉は、現在ではその弊害を訴え、廃絶を願う人々によって<女性性器切除>と呼ばれるようになっている。映画『母たちの村』の本編の日本語字幕では、作品の社会的状況を考慮して割礼という訳語を使用。この記事もそれに倣っています。

『母たちの村』(2004)[Moolaade]

村の中で、たった一人だけ異論をとなえた女性がいました。自身はもちろん、愛娘の割礼を拒否したコレさん。写真中央の女性の名前です。左は第一夫人、右は第三夫人。

ある年、6人の娘が割礼を拒否して逃げ出しました。2人は街に、そしてあとの4人が駆け込んだのは、コレさんの家。彼女らは、幼いながらもウワサで割礼を拒否したコレさんのことを知っていたのです。コレさんは、主(あるじ=ご主人)の許しをえるべきなのですが、主は仕事で遠くに行っているのでした。コレさん自身は第2夫人であるから、第1夫人のお許しがいる。結局、「モーラーデ=救済」を求めたら拒まない!ということで4人をかくまうことになります。家の玄関部分にある印[=黒赤黄の糸]をはることでモーラーデを表明します。本文中に[   ]とブランクになっている部分は、【隠しコメント】です。マウスの場合は左クリックしカーソルをのせ、なぞっていただければ表示されます。

割礼のシーンは、もちろん「ズバッ」と映像には映し出されることはありませんが、泣き叫ぶ少女の姿には胸が締め付けられます。割礼といっても、男性の場合と違って女性は女性性器の一部、もしくは全部をカット。なおかつ縫合なんてこともあるそうなんです。するとどうなるか? 切除部が硬質化したり、縫合により出産で命を落とす人や、性生活でひどい苦痛を伴うことになる、そう。もっと驚かされるのは、割礼をしない女性は「不浄」とされ、結婚相手として相応しくないとされていること。映画の中では、西アフリカのバンバラ語の「ビラコロ(割礼を受けてない人、の意)」、マンディン語で「カリファ」と蔑称されるのです。なんということだろう、と多くの女性は思うはず。

そんな現状を、主にアフリカに、そして世界に知らせよう!としたのは、「アフリカ映画の父」と賞賛されるウスマン・センベーヌ監督、現在83歳。文字の有無、言葉の違いなどを超えて、アフリカに広める最良の方法が映画だったというわけです。3年の月日を費やして完成した映画『母たちの村』は、第57回カンヌ映画祭にてある視点部門グランプリ受賞しました。


こんな姿が『母たちの村』で見られます。

1.一夫多妻
2.太鼓ことば
3.生活/暮らし
4.モーラーデ
5.割礼
6.ムチ打ち
7.風習、しきたり、ルールなど
8.価値観


撮影は、サハラ砂漠の南に位置する内陸国のブルキナファソで行われました。
主役のコレ・アルド役の女性は、本来のお仕事はテレビ局勤務、そして実際に割礼を受けているとのことです。
『母たちの村』 [Moolaade]
2006年6月17日[土]~岩波ホールにてロードショー
監督・製作・脚本:ウスマン・センベーヌ
出演:ファトゥマタ・クリバリ、マイムナ・エレーヌ・ジャナほか
2004年/フランス・セネガル/2時間04分/アルシネテラン配給
配給会社公式サイト:http://www.alcine-terran.com/

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