『パッション』は、新約聖書のマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4つの福音書の記述を基に構成された物語。登場人物たちは、1世紀当時のエルサレムで話していたアラム語(ユダヤ人)、ラテン語(ローマ人)で会話を行うのだ。それに字幕にも制限がある。本国での公開時、当初は一切の字幕をなしにしていた。前述したようにアラム語、ラテン語の会話では、ほとんどが理解できないのである。そこで監督が指示した箇所にだけ英語字幕が入っている。日本も同様だ。英語字幕の入った場所にだけ、日本語字幕を許可されている。この辺りは配給会社のサイトにて字幕翻訳者の松浦さんがコメントを書かれているので、そちらをご覧頂きたい。
原題:『THE PASSION OF THE CHRIST』日本語版字幕翻訳者:松浦美奈 字幕監修:岡野啓子■スタッフ監督:メル・ギブソン脚本:ベネディクト・フィッツジェラルド音楽:ジョン・デブニー■キャストジム・カヴィーゼル、モニカ・ベルッチ、マヤ・モルゲンステルン ほか[2004年/アメリカ・イタリア/ドルビーSRD,SDDS/スコープ/2時間7分]配給:日本へラルド映画/メディア・ボックス
これまでに製作されているイエス・キリストを扱った映画をご紹介しましょう。日本では発売されていない作品もあるので、ネットで劇中の場面画像を掲載しているサイトにリンクを貼らせていただいてるものもあります。
▼南の試写コメ稀に見る鑑賞困難な作品。というのも、あまりに評判が良くて、すぐ満席になってしまい試写室に入れないのだ。結果、上映の約3時間前から並び、3度目のチャレンジで鑑賞。(並んだのは南の勝手なのですが…)。実際、鑑賞しだすと、字幕がない、会話の意味が分からない、といったあたりは気にならなくなる。「感じる心」・・・・・というものを信じている作品だと思える。南の場合は、翻訳での必要知識ということで聖書に目を通すことや学ぶ事はある。翻訳の仲間たちにも、今後の参考になるし観て損はしない!と断言している。実際、感想つき(鑑賞した日の夜に新約聖書の4つの福音書を読まざるを得なかった、・・・・・とか)でオススメした友人から、「観て来た」という連絡がきて、「言ってた意味が分かった」と。普通の映画ならその辺りでカットをかえたりするだろう、ということをしない。・・・・・痛い部分、目を背けたい残忍な部分から逃げないのだ。あの嬉しそうな表情にゾッとする。集団心理を描いている部分でもある。これだけ心に・・・・・グサグサくる映像は、久しぶり。観て良かったと心から思う。が、しかしもう一度観るには、覚悟を要するし、少し時間をおきたいとも思う。そういう作品でした。