Q. 『キル・ビル Vol.2』観ました。ドラマ的要素やセリフが多く、かなり面白かったです。『キル・ビル Vol.1』と『キル・ビル Vol.2』とではだいぶ印象が違いましたが。クエンティン・タランティーノ:みんなすごく違うと言うね。『キル・ビル Vol.1』のイメージが強いから、もっと戦いのシーンが多いと思っていたみたいだね。『キル・ビル Vol.1』では、復讐とアクションがテーマだったから、ストーリーについてはわざとほとんど触れなかったんだ。映画を理解するために最低必要限なぐらいの要素しか入れなかった。『キル・ビル Vol.2』では話が過去に戻って、そもそもこの復讐の旅が始まった原因を追究するために、主人公ザ・ブライドが殺されたエル・パソの惨殺事件(結婚式)まで遡るんだ。『キル・ビル Vol.1』では答えなかった謎、例えばブライドとは一体何者? ビルとは何者? 何故彼女はビルのもとを去ったの? などの答えを出すためにね。
Q.なるほど。ところで、『キル・ビル Vol.1』の舞台は日本でしたが、『キル・ビル Vol.2』の舞台はアメリカ(メキシコ)ですよね。それでも、『キル・ビル Vol.2』もやっぱり日本の影響は受けているのでしょうか?クエンティン・タランティーノ:そうなんだ。ザ・ブライドとエル・ドライバーの戦いも、マカロニウエスタンのテイストで撮ってはいるけど刀アクションだ。『キル・ビル Vol.2』では日本こそ出てはこないが、その裏にはサムライ映画やヤクザ映画に通ずるテーマがあるんだよ。ハットリ・ハンゾー(千葉真一)の影響も映画全体を通して現れているし、劇中の至る所で日本の影響があるんだよ。
Q.今回もまたサントラが素晴らしいですね。クエンティン・タランティーノ:ありがとう! 『キル・ビル Vol.1』のサントラでは、アジアと日本の影響を受けた曲が多かった。「仁義なき戦い」もそうだったし、「グリーン・ホーネット」もそう、あと「ロンリー・シェパード」もね。でも、今度はメキシコが舞台だから、もっとラテンアメリカなテイストの曲が多いんだ。しかも今回は、以前よりも悲しげな曲が多い。ストーリーも哀愁的で切ない分、選ぶ曲にもより感情がこもっているものが多くなったんだ。
Q.ユマ・サーマンとの仕事はいかがでしたか?クエンティン・タランティーノ:とても楽しかったよ。何故って、それは僕らが昔からの友達で、この「キル・ビル」も、『パルプフィクション』の頃からずっとやりたいと話していた企画だったからさ。その頃はまだアイデアレベルだったけど、何年も案を練って、実行に移したんだ。ユマとは一緒にキャラクター(登場人物)を作り上げていったよ。僕がストーリーを読み上げていって、それに対してさらにユマがアイデアを言って…。今まで誰とも脚本を書く作業を一緒にしたことなんてなかったんだよ。ユマと僕はもう四年間もこのプロジェクトに関わっているから、彼女とは、長い旅を共にしたみたいな感覚だ。演技についてもユマは本当に最高、素晴らしかった。本当にすごいのは『キル・ビル Vol.2』からだけどね。
Q.ダリル・ハンナとその役柄であるエル・ドライバーについて聞かせてください。クエンティン・タランティーノ:「Vo.1」でもダリルは素晴らしかった。けど、まだそのキャラクターについて多くは明かされず、“ちょっとご紹介”という感じだった。でも『キル・ビル Vol.2』では、どこまでも残酷で卑劣であればいいという、演じていて楽しめる役だったと思うよ。
Q.デヴィッド・キャラダイン(ビル)は?クエンティン・タランティーノ:カンフーや「デス・レース 2000年」(1976)、「ロング・ライダーズ」(1980)の彼を知らない世代にとっては、彼はデヴィッド・キャラダインを“ビル”として知ることになるんだ!
Q.マイケル・マドセン(バド)はどうですか?クエンティン・タランティーノ:マイケルとの仕事は素晴らしかったよ。今回良かったのは、マイケルを役者としてさらなる別の域に達せさせることができたってことだ。マイケルといえば、“King of Cool”って感じで、とりあえずクールなイメージをまとっていた。でもこの映画でそれを剥がす試みをして、結果はとても良かったよ。
Q.最後に『キル・ビルVol.2』の見所を教えてもらえますか?クエンティン・タランティーノ:『キル・ビル Vol.2』はすべてが終わる完結編なんだ。ブライドの長い旅がね。だから、この旅の終末を観れることが、一番の見どころだ。それに、僕が語らなくても、映画を観てくれればザ・ブライドが僕の言いたいことを代弁してくれているよ!
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