さて、雄弁家なヴィゴ次の「反戦活動などにも熱心で、様々な問題に対する意識の高いことで知られるあなたにとって、ポリティカル・コレクトネスと娯楽活劇との関係は? また、襟のバッジは去年のアカデミー賞で有名になったピース・バッジですよね?」という質問に対して約4分(計ってみたら3分55秒デシタ)に渡って語るのでした。ヴィゴが通訳の方にバトンタッチ、その際に「長いけど頑張って!」と一言そえたのです。こういう細やかな気配りもヴィゴ・モーテンセンの魅力でしょう。ここでは、部分的に要約版でご紹介します。
「単なる国連バッジです。国連の国を統合するって言葉は気に入ってます。第一次世界大戦が終わった時、人々がこれを作りたいと考えたその志は素晴らしいものだと思っているので、このバッジをつけています。」
「この映画は様々な文化の人が登場し、初めは対立し、敵意を抱いたりしますが、やがてお互いの努力によって理解をしていくようになります。そういう物語は、特に今のような時期には重要な意味を持つと思いますが、それは私が今回この映画に出演した理由ではありません。」
「あまりあからさまなメッセージが映画の前面に出てしまうと、観客は、引いてしまのではないでしょうか?映画というのは、まずは観客に楽しんでもらわなくてはなりません。そういう意味では、この映画は古きよきハリウッドのアドベンチャー映画になっていると思います。どうも最近のハリウッド大作は、観客の知性を信頼して作っていない傾向があるようなのですが、この映画はそんなあからさまなメッセージがなくても観客はわかってくれるという思いで作られています。その根底にきちんとした物語があり、人というのはお互いに結ばれているんだということを伝えてくれています。」
「たまたまこの映画が今の時代に作られたために、予告編を見て「ああ、アメリカのカウボーイが中近東に行って、勝手に…」などと誤解なさるかもしれませんが、きちんと見ていただければそういう物語ではなく全く反対のことを描いていることがわかっていただけると思います。この映画の脚本は9.11以前に書かれたものです。そしてイラク侵攻前に撮影が終わっています。現状と非常に共通する部分もあり意義深いことではありますが、だからといってこの映画に出演したわけではありません。」通訳が終わると…ヴィゴ・モーテンセンは、「お疲れさま!」と言う感じで自分のミネラル・ウォーターを通訳さんに差し出すのでした。(きゃ、優しい)
この作品を語るには、かかせない俳優のお話も聞かねば…。映画界の伝説的人物、オマー・シャリフとの共演は、ものすごく嬉しかったそうだ。撮影中にも『アラビアのロレンス』の時の話や、共演した俳優話を色々と聞いていたそうで…もしもそういう機会があったのなら皆さんも、そうされますよね。オマー・シャリフの前では、ヴィゴも1ファンのようになってしまったよう。これを知りながら映画を鑑賞するのもなかなか興味深いと思いますよ。
『オーシャン・オブ・ファイヤー』来日会見3ヴィゴ・モーテンセンからのP.S&ファン必見写真集